南こうせつと林部智史が世代を越えたセッションを披露!「『なごり雪』はユニゾンでいこうとひらめきました」

南こうせつと林部智史が世代を越えたセッションを披露!「『なごり雪』はユニゾンでいこうとひらめきました」

デビュー55周年を迎えた南こうせつをフィーチャーした番組「南こうせつの素顔〜おいちゃんの今〜 林部智史 音楽を訪ねて」が3月30日(日)に歌謡ポップスチャンネルで初放送される。かぐや姫、そしてソロアーティストとして、長きにわたって活躍し続けている南の音楽の足跡を、類まれな声を持つ歌手・林部智史が旅するという番組だ。南が30代に移住して拠点になっている大分を訪れたほか、特別企画として世代を超えた2人のアーティストのトーク&ソングセッションも行った。そのトークと歌のセッションの収録の直後にインタビューを行い、それぞれの印象や番組の見どころについて語ってもらった。

――トークとセッションの収録が行われました。

林部:はい、"南こうせつさんの素顔に迫る"という内容になっております。

:こういうふうに番組とかでちゃんと話したりするのは初めてなので、僕も楽しみにしていました。

林部:ありがとうございます。以前、こうせつさんのコンサートに伺わせていただいたことがあって、ゆず胡椒と缶バッチをいただきました。

:あぁ、そうだったね!

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――林部さんから見た、アーティストとしての南こうせつさんの印象は?

林部:やっぱりステージで歌ってらっしゃる姿を見るとパワーを感じます。皆さんがおっしゃると思うんですけど、エネルギーや明るさという印象が強いです。でも、ずっと明るい方もいれば、その明るさを出すために何かを抱えている方もいると思うんです。こうせつさんもいろんな歴史がありますから、その素顔に迫ることができればと思って、この旅をスタートしました。

――こうせつさんから見た林部さんの印象は?

:とにかく綺麗な声を出されますよね。スーッと透き通るような声。それと物事を見る洞察力がある印象です。"感覚的"なだけではなく、すごく"文学的"でもあるのかなと思ったりしました。

――番組でのトークでは、声についてもお話しされていましたし、作詞や作曲についての考え方など、いろんなテーマでお話しされていました。

林部:こうせつさんは大先輩なので、本当に勉強になることがたくさんありました。深いところまでお話しできたのもうれしかったです。

:いろいろ話した中で、"作詞"が得意じゃないというのが意外でした。

林部:哲学的、文学的に書くことも可能なんですけど、その部分で争うと作詞家さんにはかないません。あえて文学的なものをなくさないといけないんじゃないかなって。

:なるほどね。確かに、言葉がメロディーに乗った時、言葉が言葉以上に生きるというのがいい歌だと思うから、その加減が難しいところだよね。せっかくいいストーリーの詞ができても、メロディーが逆に乗っちゃうと全然伝わらなかったりもするし。

林部:以前、小椋佳さんに書き下ろしていただいてアルバムを出したことがありまして、その作品と僕が作った歌を同じコンサートの中で歌うという時に、やっぱりその差が大きいんです。

:小椋佳さんに書いてもらったりしてるんだね。小椋佳さんの歌詞は深いよ。稀有な人ですから、それはものすごい幸せなことだよ。80年代、松田聖子ちゃんがどんどん売れて、「作品に恵まれている」とも言われていたんです。松本隆さんとかいろんな人が歌詞を書いたりしていましたから。でも、聖子ちゃんという存在が作品を呼び込んでいたんじゃないかな。それと同じように、(林部さんが)小椋佳さんを呼び込んだんだと思うんです。「書きたい」と思ったんだろうなぁ。

林部:今、こうせつさんにお願いしているところです。

:せっかく、こういうご縁をいただいたので共作できたらいいねって。歌詞を書いてもらって、僕が曲を書いて、という感じがいいかなって話になりました(笑)。今話した瞬間にフッとイメージが湧いてきました。すごく悲しいメロディーじゃなくて、メジャーな感じだけど、そこに悲しい感じのストーリーが乗るのがいいんじゃないかって。そのほうがあなたの声がより生きる感じがする。

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――その共作が実現するのを楽しみにしております。今回の番組では「夢一夜」と「なごり雪」を一緒に歌われました。二人の歌声とこうせつさんが弾くアコギの音だけというシンプルな構成だったので、より歌声が引き立つ感じでした。

:楽屋でも少し打ち合わせましたけど、ほぼステージの上で合わせたりして歌割りとかも決めていきました。これ、聴きどころなんですけど、「なごり雪」って誰かと一緒に歌う時ってハモリがちなんです。今日も最初はハモろうとしてたんだけど、「やめよう! 今日はサビをユニゾンでいこうよ」って瞬間的にひらめいて提案しました。結果的にそれがすごく良かった。

林部:僕はずっと緊張してました(笑)。でも楽しかったです。今日だからこそのセッションだったと思うので、もし別の日だったら違う形でのセッションになっていたと思います。

――歌手、歌い手同士って、歌ってみて分かる部分もあると思いますので、トークとは違う何か化学変化みたいなものがあったように感じました。

:今日もそうでしたけど、いろんな方と歌うことは本当に勉強になります。

林部:僕もすごく貴重な経験をさせてもらいました。

――トーク、歌のセッションのほかに、林部さんはこうせつさんの地元・大分を訪ねたりもしているんですよね?

林部:はい、行ってきました。

:今回は僕を取り上げてくれて、わざわざ九州・大分の実家まで取材に行ってくれて。そこまでやってくれてるのが嬉しいですね。

林部:僕の方こそ、こういうきっかけがないとなかなか行く機会がないので、実際に行けてよかったです。

:その後、大分でのコンサートは売り切れですよ。大したもんだ。

林部:カバーツアーだったんですけど、「夢一夜」と「神田川」を歌いました。

:おぉ! 嬉しい。

林部:今日、お話をさせていただいたので、今後、こうせつさんの歌をカバーさせてもらう時はまた違った思いや感情が表現できるんじゃないかなと思います。

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――最後に、この番組を楽しみにしている方と読者の方に向けて、見どころを含めたメッセージをお願いします。

:ちゃんと歌と真正面から向かい合って、歌心を伝えてくれるというのは、僕らにとってすごくありがたいなと思います。いい番組ですね(笑)。

林部:こうせつさんの懐の深さというのも感じてもらえるんじゃないかなと思います。"素顔に迫られる"というのはどうですか?(笑)

:いやぁ、なんだか照れちゃいますけど、肩肘を張ることなく、そのままが出ればいいかなって思いました。

林部:この番組を見ていただければ、こうせつさんのことをより分かってもらえて、歌の聞こえ方も、もしかしたら変わってくるのかなという迫り方はできていると思います。

:僕だけじゃなく、林部さんの声、歌い手としての魅力もたっぷり感じられますので、ぜひぜひご覧ください。

取材・文/田中隆信 撮影/皆藤健治

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