「モブランド」トム・ハーディ演じる裏社会のフィクサーの活躍と娘の危険な恋に注目!【関根麻里】
海外ドラマ 見放題連載コラム
2025.08.30
こんにちは。関根麻里です。私が大好きなパラマウントプラスの海外ドラマを皆さまにご紹介する連載コラム第11回は、トム・ハーディ主演×ガイ・リッチー監督による「モブランド」です。
ロンドンの裏社会を揺るがす二大マフィアの抗争が始まる!
本作の舞台は、イギリスの首都ロンドン。莫大な富と権力が渦巻く裏社会を牛耳る犯罪一家、ハリガン家に忠誠を誓う最強のフィクサー(もみ消し屋)の活躍を描く、スタイリッシュなクライム・サスペンスです。ロンドンの裏社会を支配するのは、コンラッド・ハリガン(ピアース・ブロスナン)を当主とするハリガン家。その絶大な権力を陰で支えてきたのが、縄張りで起こるあらゆる不祥事をもみ消してきたフィクサー、ハリー・ダ・スーザ(トム・ハーディ)でした。
そんなある日、少年時代からの友人でもあるコンラッドの次男ケヴィン(パディ・コンシダイン)から連絡を受けたハリー。ケヴィンの息子エディ(アンソン・ブーン)が血まみれで帰宅したというのです。ハリーはいつものように巧みな話術で事態を収めますが、ほどなくしてハリガン家と敵対するスティーヴンソン家のボス、リッチー(ジェフ・ベル)に呼び出されます。そこで明かされたのは衝撃の事実――エディは事件当時、リッチーの息子トミーと一緒に行動しており、その日を境にトミーが行方不明になっているというのです。
最強のフィクサー役トム・ハーディの迫真の演技が光る!
アメリカでの配信開始からわずか7日間で視聴者数880万人を突破し、グローバルシリーズ作品としてパラマウントプラス史上最大の記録を樹立した本作。まさに世界中で注目を集める超話題作ですが、私もドキドキとハラハラの連続でした。本作の大きな魅力の一つが、なんといっても豪華キャスト陣です。主人公ハリーは、裏社会で生き抜くための人脈と交渉術を駆使し、ボスのコンラッドや次男ケヴィンからの依頼には即座に行動して解決へ導くという、味方にいればこの上なく心強い存在。
そんなハリーを演じるのは、ハリウッドを代表するスター、トム・ハーディ。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のマックス役や、「ヴェノム」シリーズのヴェノム役などで世界的に知られていますが、私自身は『ダークナイト ライジング』でのベイン役がとても印象に残っています。作中では、エディが起こした傷害事件の関係者を訪ね、穏やかな口調でありながら相手を脅して有利な状況に持ち込む交渉術が光ります。さらに、第6話以降で描かれる、コンラッドの長男ブレンダンと長女セラフィーナを救出するため、たった一人で敵地へ乗り込むシーンでのバイクアクションやガンアクションは、本当にカッコ良かったです。
夫婦役でピアース・ブロスナン×ヘレン・ミレンが豪華共演!
ハリーが忠誠を誓うボス、コンラッドを演じるのは、「007」シリーズで5代目ジェームズ・ボンドを務めた名優ピアース・ブロスナンです。表向きはダンディーでエレガントな英国紳士そのものですが、実際にはロンドンの裏社会を二分するマフィアのボス。自らのシマで好き勝手を働いたギャングの死体を、口汚くののしりながら何度も蹴りつけるなど、冷酷で荒々しい一面も持ち合わせています。
そんなコンラッドが唯一頭の上がらない相手が、妻のメイヴです。演じるのは大女優ヘレン・ミレン。彼女が画面に現れた瞬間、その圧倒的なオーラに「この人こそ、一番敵に回してはいけない人だ」と直感させられるほどです。メイヴは夫コンラッドに助言を与え、彼もそれに従うことが多いため、実質的にはハリガン家を仕切る存在ともいえます。家族への愛情はとても深い一方で、孫のエディをとことん甘やかしたり、コンラッドと愛人との間に生まれた娘セラフィーナを容赦なくののしったりと、激しい一面も見せる女性です。
この豪華キャスト陣が集結する舞台となるのは、「ハリー・ポッター」シリーズのロケ地としても知られる、古き良きイングランドの面影を色濃く残すコッツウォルズの立派なお屋敷です。印象的なのは、彼らが集まるたびに必ず紅茶を入れる場面。例えば、息子エディがクラブで人を刺したことが発覚した際、ハリーを迎えたケヴィンの妻ベラはまずお茶を差し出します。そして、問題を起こしたの張本人のエディまでもが「俺もお茶」と母にねだるのです。どんな緊迫した状況でも、まずはお茶を飲む。そんなイギリスならではの文化が垣間見られるのも、興味深かったです。
ガイ・リッチーが魅せる新境地、シリアスでクールな演出!
第1、2話を手がけるのは、『スナッチ』『シャーロック・ホームズ』『アラジン』などで知られる名監督ガイ・リッチー。イギリスらしいシニカルでコミカルな演出を得意とするリッチー監督ですが、本作では一転して、終始シリアスかつクールなムードが漂っており、新鮮な魅力を感じました。さらに、人気ロックバンド、フォンテインズ D.C.の楽曲「Starburster」を起用したオープニングをはじめ、随所での音楽の使い方も非常にスタイリッシュ。映像と音楽の融合が抜群で、強く印象に残っています。
個人的にはハリーの家族、妻ジャンと娘ジーナに幸せになってほしいです。特にジーナには、しっかり学校の試験を受けさせてあげたいですし、父親と同じように危険な男性に惹かれてしまう彼女の行く末がとても心配です。そして既にシーズン2の制作も決定しているそうです。スリリングなストーリー展開と迫力あるアクション、そしてメイヴを演じるヘレン・ミレンの圧倒的な存在感。エディの行動をきっかけに勃発した、ロンドンを二分するマフィアの抗争をハリーはどう収めていくのか。そして、ハリガン家とダ・スーザ家、二つのファミリーの運命はどうなっていくのか。皆さんと一緒に最後まで注目していきたいです。
