マイケル・ファスベンダー演じるCIAエージェントの行動にハラハラ「ザ・エージェンシー」【関根麻里】

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関根麻里 (タレント)

タレント。幼少時からインターナショナルスクールへ通い、海外留学の経験を持つ関根麻里が、パラマウントプラスの海外ドラマからオススメ作品の見どころや魅力を語る。

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マイケル・ファスベンダー演じるCIAエージェントの行動にハラハラ「ザ・エージェンシー」【関根麻里】

こんにちは、関根麻里です。私が大好きなパラマウントプラスの海外ドラマを皆さまにご紹介する連載コラム、第6回はハリウッドの名優ジョージ・クルーニーがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた、マイケル・ファスベンダー主演の極上スパイスリラー「ザ・エージェンシー」です。

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潜入任務を終えたCIAエージェントに迫る危機

本作の主人公は、エチオピアでの長年にわたる潜入任務を終え、ロンドン支局に戻るよう命じられたCIAエージェントのマーシャン(マイケル・ファスベンダー)。彼は、現地で出会った恋人サミア(ジョディ・ターナー=スミス)と、ヨルダンの国際学校で働くことを理由に、その関係を円満に終わらせます。

ロンドンのオフィスに戻ったマーシャンでしたが、用意された住まいには盗聴器が仕掛けられ、どこへ行くにも尾行が付き、息苦しい日々を送っていました。そんなある日、サミアが勤務しているスーダンのハルツーム大学が、テロリストに攻撃されたことをニュースで知ります。居ても立ってもいられなくなった彼は、プリペイド携帯を購入してサミアに連絡。無事を確認すると同時に、彼女が現在ロンドンにいることを知らされます。

時を同じくして、ベラルーシのミンスクでは、ウクライナで9つの対ロシア攻撃作戦が秘密裏に進行していることを知るCIAエージェント、コヨーテが行方不明となる重大事件が発生します。そんな時に、マーシャンはロンドン支局を抜け出し、尾行を振り切ってサミアと再会。二人は再び、許されない恋に身を投じていきます。

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豪華キャストと製作陣が描く息もつかせぬ展開

主演のマイケル・ファスベンダーをはじめ、リチャード・ギアら豪華キャストが顔をそろえた本作。エグゼクティブ・プロデューサーを務めているジョージ・クルーニーは、アカデミー作品賞に輝いた『アルゴ』など、上質でシリアスな映画を手掛けてきたので、本作もクオリティーの高い、そして細部にまでこだわったドラマになるだろうなと楽しみにしていました。

実際に見始めると、息つく間もないスリリングな展開に、あっという間に引き込まれました。マーシャンとサミアの恋を軸に、ベラルーシで行方不明になったコヨーテの安否、実行寸前まで進められていたウクライナとアメリカ合同による対ロシア軍への極秘作戦"フェリックス"、マーシャンが指導する新人エージェント、ダニエラの奮闘などが、同時進行で描かれていきます。その中でも私が一番気になっているのは、ベラルーシで行方不明になったコヨーテの存在。彼は生きているのか、そして極秘情報は守られているのかが気になります。

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人間味あふれる主人公マーシャンの魅力に注目

主人公のマーシャンはベテランのCIAエージェントでありながら、ポール・ルイスという偽名を使って付き合っていた恋人サミアの存在が忘れられず、任務の規則を破ってまで彼女との再会を選ぶ、とても人間味あふれる人物です。そんなマーシャンをマイケル・ファスベンダーは感情を抑えた繊細な演技で表現していますが、サミアを見つめる切なくも熱い視線からは、彼女への愛情が強く伝わってきました。

その上、家に遊びに来た娘ポピー(インディア・ファウラー)に、バスルームの通気口奥に隠していたポール・ルイス名義の運転免許証を発見されるなど、これまでさまざまな映画やドラマなどに登場したCIAエージェントたちに比べると、詰めが甘い部分も描かれます。皆さんも私と同じように「本当に大丈夫なのかな?」と、マーシャンの行動にハラハラさせられるはずです。

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実力派俳優陣が織りなすキャラクターたちの魅力

マイケル・ファスベンダーといえば、「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」で、若き日のエリック・レーンシャー/マグニートーを熱演していたことで知られています。本作では、年齢を重ねていて、さらに渋くてカッコイイ姿が印象的でした。そして、マーシャンが心を奪われたのは、誰もが一目で恋に落ちてしまうほどに美しい、ジョディ・ターナー=スミス演じるサミアです。いつも色鮮やかなファッションに身を包み、とてもオシャレなんです。彼女も、マーシャンを愛情のこもった優しいまなざしで見つめるなど、視線での演技がすごく印象的でした。そして、CIAロンドン支局長のボスコを演じるリチャード・ギアや、義理の弟が"フェリックス"に参加している作戦指揮官オグルトリー役のジェフリー・ライトといった名優たちの演技からは、上司と部下の板挟みで悩む中間管理職の悲哀がリアルに伝わってきます。

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私が個人的に気に入っているのは、マーシャンが指導する新人女性エージェントのダニエラ(サウラ・ライトフット・レオン)です。大きな瞳がチャームポイントの彼女は、初登場シーンから気になる存在でした。指導係のマーシャンからの課題をクリアしたダニエラは、実務に就いてからもさまざまな困難を機転と度胸で乗り切っていきます。その言動から、とても頭の回転が速くて賢い女性だということが伝わってくるので、今後どのように一人前のエージェントとして成長していくのかが楽しみです。

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スタイリッシュな映像美と構成が光る極上ドラマ

スリルとサスペンスに満ちた物語はもちろん、青みがかった落ち着いた色合いの映像に、上空からの凝ったカメラワーク、オンラインミーティングや監視カメラの映像などを多用したスタイリッシュな絵作り、そして音楽の使い方もオシャレで魅力的でした。それまで無傷だったのに突然、顔にケガを負ったマーシャンが病室でカメラに語りかける映像が差し込まれるなど、回想シーンと現在が巧みに交錯する構成のため、最終話まで見なければ全貌が見えてこないストーリーが展開します。週末の夜などゆったりと過ごす大人の時間に、腰を据えてじっくり鑑賞するのがオススメのドラマです。