真田広之の出演作5選!「ジョン・ウィック:コンセクエンス」など、珠玉の演技と圧倒的存在感に酔いしれる
2024.12.13
アメリカドラマ界最高の栄誉とされる「エミー賞」で最多受賞記録を打ち立てた「SHOGUN 将軍」。その立役者となったのが、主演・プロデューサーを務めた真田広之だ。同作がアメリカ作品において、かつてないほどリアルな日本描写を実現できたのは、彼の奮闘と知見による功績が大きい。真田は2003年の『ラストサムライ』への出演を機に、活動拠点をハリウッドに移し、『ラッシュアワー3』(2007年)、『ライフ』(2017年)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)などの話題作に出演。そんな真田の演技や存在感が光る5作品を紹介する。
■ジョン・ウィック:コンセクエンス
キアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」シリーズ第4弾で、2023年に公開され世界77カ国で初登場1位となった。数々の伝説で裏社会を震撼(しんかん)させてきた最強の殺し屋ジョン・ウィックが、おきてを破りながら粛清の包囲網を逃れ、裏社会を支配する巨大組織と決着をつけるために立ち向かう。真田は大阪コンチネンタルホテルの支配人であり、ジョンの旧友シマヅ役で出演。ジョンを追い詰める盲目の達人ケイン役のドニー・イェンとのバトルは必見だ。出演の経緯には、チャド・スタエルスキ監督が真田にほれ込み、電話で自らオファーしたという逸話もある。
■陰陽師
平安時代に実在した陰陽師・安倍晴明を主人公にした夢枕獏(ゆめまくらばく)の小説を原作に、アクション&VFX満載で2001年に滝田洋二郎監督が映画化。物語は、原作者の夢枕獏自身が書き下ろした完全オリジナルストーリーとなっている。晴明を狂言師の野村萬斎が演じ、真田は晴明のライバルである悪の陰陽師・導尊役を演じている。謎めいた笑みと優雅な身のこなしを見せる野村に対し、悪役である真田の迫力と貫禄も見事。2人の演技合戦が画面を大いに引き締めている。晴明の親友・源博雅(みなもとのひろまさ)役で伊藤英明、式神役で元SPEEDの今井絵里子、正体不明の謎の女役で小泉今日子らが共演。
■大型時代劇特別企画「坂本龍馬」
1989年にTBS系で放送された、真田が坂本龍馬役で主演した大型娯楽時代劇。物語は、龍馬が江戸での剣術修行中に起こった黒船来航騒動の時期から始まる。桂小五郎との出会いと勝海舟へのリスペクト、海軍伝習所を経て海援隊を結成。さらに薩長連合成立に奔走し、大政奉還へと進む激動の幕末を生き抜いた龍馬の痛快な活躍を壮大なスケールで描く。真田の龍馬は夢を追いかけて青春をひた走る躍動感があり、まさにはまり役だ。西郷隆盛役に松方弘樹、龍馬の妻のお龍役に名取裕子、姉の乙女をかたせ梨乃が演じ、ブレーク前の香川照之、財前直見、竹中直人らも顔を見せている。
■刑事たちの夏
久間十義(ひさまじゅうぎ)の同名小説を映像化し、1999年に読売テレビ・日本テレビ系で放送されたスペシャルドラマ。主人公の刑事・松浦(役所広司)が、官邸をも巻き込むリゾート開発の不正融資事件の真相を命懸けで追求する。真田は首相秘書官・黒川和樹役で登場。松浦にとっては敵か味方か分からないミステリアスな人物で、事件の裏に潜むさらなる巨悪の存在を暗にほのめかし、物語の鍵を握る存在。真田のニヒルな演技が見どころで、画面上での存在感が抜群で思わず引き込まれてしまう。役所と真田の実力派俳優同士の演技合戦が堪能できる。同年、日本民間放送連盟賞テレビドラマ部門最優秀賞、第37回ギャラクシー賞テレビ部門大賞などにも輝いた。
■阿部一族
森鴎外の短編小説をドラマ化し、1995年にフジテレビ系で放送された。江戸時代初期に肥後藩の重職であった阿部一族が、上意討ちで全滅した事件を題材にしている。阿部弥一右衛門(やいちえもん)役で山崎努が主演。真田は、弥一右衛門の次男・弥五兵衛(佐藤浩市)とやりの道場で腕を競い合う親友・柄本又七郎を演じた。阿部一族が反乱を起こしたために、討手側の人間として弥五兵衛と対決するという難しい役どころを好演。度重なる恥辱に耐えかねて決死の覚悟で藩命に背く阿部一族の悲劇を、深作欣二監督はストップモーションなどの演出を駆使して描き出した。クライマックスでの真田と佐藤による対決シーンは、まさに名場面だ。
文/渡辺敏樹