キム・ウビン&スジが9年ぶり共演!「魔法のランプにお願い」が描く韓国ドラマの新境地

キム・ウビン&スジが9年ぶり共演!「魔法のランプにお願い」が描く韓国ドラマの新境地

Netflixで独占配信中の韓国ドラマ「魔法のランプにお願い」。本作では、キム・ウビンとスジがドラマ「むやみに切なく」以来、約9年ぶりに共演する。スジは4人組ガールズグループ・miss Aの元メンバーで、「スタートアップ:夢の扉」「イ・ドゥナ!」など数々のヒット作に出演。"国民の初恋"と称されるトップ女優として知られ、セリーヌのアンバサダーを務めるなどファッションアイコンとしても注目を浴びている。一方のキム・ウビンは、闘病生活を経て約3年ぶりに2020年俳優活動を再開。復帰作となったNetflixシリーズ「私たちのブルース」では船長ジョンジュン役を演じ、これまでのイメージを刷新。自然体で人間味あふれる演技が高く評価された。

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千年の眠りから目覚めた精霊と心を閉ざす美女との恋

そんな2人が共演する「魔法のランプにお願い」は、千年間ランプに封印されていた精霊ジーニー(キム・ウビン)が現代に目覚め、美しくも型破りな女性ガヨン(スジ)と出会うことから始まる物語だ。ガヨンは幼いころから祖母の厳格なルールに縛られ、自分の感情や願いを押し殺して生きてきた。周囲に合わせて暮らす一方で、良心の呵責(かしゃく)をあまり感じない一面を持ち、何を考えているか分からないと周囲からはサイコパスのようだとささやかれる。

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そんな彼女の前に現れたのが、千年の眠りから解き放たれたジーニー。彼は「3つの願いをかなえてやろう」と宣言するが、人間の欲望を試すようないたずら心と悪魔的な一面を隠し持つ。しかし、不器用ながらも現代社会に順応しようとする姿はどこか愛らしい。願いを口にすることを恐れるガヨンと、願いをかなえたいジーニー。2人の出会いは、ガヨンの閉ざされた心を少しずつ解きほぐし、彼女が本当に望む人生や幸せと向き合うきっかけとなっていく。

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コメディーと哲学が融合するファンタジーに引き込まれる!

物語はファンタジーならではの不思議な出来事やコミカルなドタバタで幕を開け、ジーニーが暴れん坊のガヨンに手を焼く場面は微笑ましい。だが中盤からは、ファンタジーを包んだロマンスへとトーンを変え、「願い」と「愛」の意味を問う哲学的な展開に。終盤は波乱に満ち、最後まで予測不能なストーリーが待っている。本作の魅力は、ファンタジーを核としたラブストーリーでありながら、コメディー要素や哲学的テーマも取り入れた複雑さにある。序盤はパロディー満載で、韓国ドラマの名作や話題作をネタにした遊び心あふれる場面も多い。一方で、ロマンスシーンの演出は息をのむほど美しく、後半に展開する壮大で緻密なストーリーには思わずうならされる。

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脚本を手がけるキム・ウンスクは、「パリの恋人」や「シークレット・ガーデン」で知られるヒットメーカーで、2022年にはNetflixシリーズ「ザ・グローリー ~輝かしき復讐~」でも話題を呼んだ。多彩な要素を盛り込みながらも、ストーリーに破綻はなく、張り巡らされた伏線の回収も見事だ。主役の2人だけでなく、脇役にも適度な見せ場を用意し、キャラクターが乱立することもない。複雑な物語を、混乱なく展開させる筆さばきには驚かされる。

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主演2人の卓越した演技と共演陣が放つ抜群の存在感!

俳優陣も見どころ満載で、感情移入がしにくい特殊なヒロインを演じるスジは、視線だけで心境の変化を表現する繊細な演技が光る。一方、キム・ウビンは目力が圧倒的で、コミカルな場面とシリアスな場面で使い分ける演技は迫力満点だ。さらに、自らの恋心に戸惑うかわいらしい表情でも観客を魅了する。

共演者には、Netflixシリーズ「賢い医師生活」のアン・ウンジン、映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』のノ・サンヒョン、ドラマ「TWELVE トゥエルブ」のコ・ギュピル、Netflixシリーズ「The 8 Show ~極限のマネーショー~」のイ・ジュヨンら実力派が集結。アン・ウンジンは謎の女性・ミジュ役で登場し、涙を誘う名演を見せる。ノ・サンヒョンはジーニーと対峙(たいじ)するスヒョンを演じ、長身で凛々(りり)しいキム・ウビンとの対比も見どころだ。コ・ギュピルはジーニーの側近・セイド役で、特に後半の活躍が印象的。イ・ジュヨンは、ガヨンの唯一の親友で歯科医のミンジを演じ、脇役陣の中でもひときわ存在感を放つ。

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物語の終盤では「愛」と「願い」の真の意味を問いかける重厚な展開が待っており、スリリングで視聴者の予想を軽々と裏切る波乱の連続。結末がどうなるのかハラハラさせられ、バッドエンドにならないことを祈りながら画面にくぎ付けになるはずだ。韓国ドラマのクオリティーの高さを改めて示す「魔法のランプにお願い」。ラストシーンに浸りながら、物語の余韻まで存分に楽しんでほしい。

文/渡辺敏樹

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