真田広之、浅野忠信が「SHOGUN 将軍」で見せた存在感!ゴールデングローブ賞受賞までの軌跡
特集 独占配信
2025.01.17
真田広之が主演し、製作も手掛けたドラマ「SHOGUN 将軍」が米ゴールデングローブ賞で作品賞など主要4冠に輝いた。エミー賞18冠に続く快挙であり、主演男優賞の真田と助演男優賞の浅野忠信は栄えある初の日本人受賞者として歴史に名を刻んだ。エミー賞でも最多受賞記録を打ち立てた「SHOGUN 将軍」だが、成功の立役者となったのは、やはり主演・プロデューサーを務めた真田の存在といえる。従来の米国作品での表現にありがちだった違和感を排除すべく、かつてない程リアルな日本描写を実現できたのは、真田の奮闘と知見による功績が大きかったのは間違いない。2003年の『ラストサムライ』への出演を機に活動拠点をハリウッドに移行した真田は、『ラッシュアワー3』(2007年)、『ライフ』(2017年)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)などの話題作に出演し、アメリカでの実績を積み上げた。
真田広之が醸し出すカリスマ性と浅野忠信のリアルな表現力に感嘆!
「SHOGUN 将軍」は、ディズニー傘下の製作スタジオ「FX」がかつてないスケールで描いた意欲作。真田演じる武将・吉井虎永は、何千人もの兵士を統率した将軍で、その威厳を真田は自然な演技で表現。周囲の人間を惹きつけるカリスマ性には説得力があり、計略に秀でた知恵深さも醸し出している。まさに視聴者を納得させる演技で、虎永のキャラクターをより深く、魅力的なものに昇華させている印象だ。特に物語の終盤で、意を決し戦いに挑む虎永が放つ「時は来た!」という決めゼリフには誰もがしびれることだろう。
一方、浅野の演技も素晴らしい。本作では裏表の顔を持ち、一癖ある家臣・樫木藪重を演じているが、リアクションを重視して感情を表現する控えめな演技ながらも感情と見事に連動し、セリフが常にリアルで生々しい。セリフのない場面では、反応を丁寧に演じるため、より雄弁に人物を物語ることに。近年のハリウッドでも、感情を作るより反応や衝動に動かされる演技アプローチが主流となっているが、浅野は以前からそんな芝居を試みていたように思う。
真田の場合は自身の演技だけでなく、本作ではプロデューサーとして戦国時代をリアルに描くことにこだわった。"本物"を知る日本人スタッフを起用し、細部までチェックしながら、それを実現させたといえる。結果的に本作の出来栄えはアメリカだけでなく、世界で認められたのだ。『ラストサムライ』以降、ハリウッドで本物のアクションを追求し、演技力を磨き上げてきた真田の実績は称賛するに余りある。
真田広之の存在感が光る映画と浅野忠信ハリウッドデビュー作にも注目!
真田の演技を堪能できる映画として紹介したいのが、2013年公開の『ウルヴァリン:SAMURAI』だ。現代の日本を舞台に、主人公のウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)が宿敵と死闘を繰り広げるアクション大作。ウルヴァリンが治癒能力を失い、精神的にも肉体的にも限界に追い込まれるストーリーで、死の恐怖を経験したウルヴァリンの未来を変える壮大な戦いが繰り広げられる。真田は主要人物のヤシダ・シンゲンに扮(ふん)して、圧巻の刀さばきを披露。アクションの秀逸さに加えて、和服姿の完璧な着こなしも話題となった。
一方、浅野の演技を語る上で外せないのが、ハリウッドデビューを果たした2011年公開の『マイティ・ソー』だ。マーベルコミックを実写化した3D大作で、神々の世界を追放されたソー(クリス・ヘムズワース)が、人間界で出会った天文学者ジェーン(ナタリー・ポートマン)らとの触れ合いを通し、真のヒーローとして成長していく姿を描く。浅野はソーをサポートする三銃士の一人、ホーガンを演じた。寡黙ながら歴戦の戦士という存在感を見せ、共演者からも絶賛された。以降も『バトルシップ』(2012)、『47RONIN』(2013)、『沈黙 -サイレンス-』(2016)、『モータルコンバット』(2021)などのハリウッド大作に出演して積み重ねた実績が「SHOGUN 将軍」で実を結んだ形だ。
また、「SHOGUN 将軍」でメインキャラクターの一人、鞠子を演じたアンナ・サワイもゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞。彼女は2009年に『ニンジャ・アサシン』で映画デビューし、以降も『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』(2021)、『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』(2023)で主演するなど、着実にハリウッドでの実績を積んでいる。世界的な名声を手にした3人の日本人俳優の活躍に、これからも大いに注目だ。
文/渡辺敏樹