「サラ・キムという女」で話題のイ・ジュニョクが主演ドラマ「良いが悪い、ドンジェ」で見せた底知れぬ魅力
2026.04.07
Netflixで独占配信中で、日本を含む33の国・地域で1位を獲得する大ヒットとなっているドラマ「サラ・キムという女」。謎多きヒロインを追う刑事を演じ、その冷静かつ大胆な姿で世界をひきつけているのがイ・ジュニョクだ。
そんな彼の代表作の一つが、かつて社会現象を巻き起こした、検察内部の不正を暴くドラマ「秘密の森」シリーズである。同作で演じた検事ソ・ドンジェは、保身のために調子よく立ち回るもどこか憎めないキャラクター像が視聴者の心をつかみ、ついに彼を主役としたスピンオフドラマ「良いが悪い、ドンジェ」が誕生するまでに至った。4月14日(火)よりホームドラマチャンネルにて日本語字幕版が放送される本作の見どころを紹介する。

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■欲望に忠実な検事ソ・ドンジェを熱演
近年のイ・ジュニョクといえば、ラブコメ「わたしの完璧な秘書」で演じた非の打ち所がないイケメン秘書役が記憶に新しい。彼が扮(ふん)したユ・ウノは、仕事も家事も完璧にこなし、ヒロインを静かに支える包容力に満ちた男。端正なビジュアルを最大限に生かした大人の色気は、まさに彼の真骨頂ともいえる役どころだった。
しかし、「良いが悪い、ドンジェ」で演じたドンジェは、そのクリーンなイメージとは真逆だ。出世のためなら手段を選ばず、強者にこびへつらい、弱者にはこれ以上ないほど尊大な態度を取る。視聴者が思わず顔をしかめたくなるような"器の小ささ"や"卑劣さ"を、彼はごく自然に、かつ絶妙なユーモアを交えながら熱演している。彼のような完璧な美貌を持つ俳優が情けない男を演じると、どこか作り物のように見えることもあるだろうが、ドンジェの場合は違う。スマートな外見の下に隠しきれない泥臭い必死さが透けて見えるからこそ、キャラクターにある種の哀愁と目が離せない中毒性を与えているのだ。

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■過去の闇と現在の正義が交錯する。イ・ジュニョクが見せるまなざしの変化
ドンジェは単なる悪徳検事ではなく、"スポンサー検事"という不正のレッテルが張られた過去と、これから手に入れたい"クリーンな名声"という矛盾する二つの自我の間で常に揺れ動いている。その板挟み状態を、イ・ジュニョクは細やかな表情の揺らぎや、焦燥感の伝わる落ち着きのない仕草で見事に表現する。
特に、絶体絶命の窮地に陥った際のコミカルなまでの必死さは、本来なら軽蔑されても不思議ではない行動を、なぜか応援したくなる「愛すべき人物」へと変貌させてしまう。「サラ・キムという女」での鋭い視線とは対照的な、保身のためにキョロキョロと泳ぎまくるドンジェの瞳。同じ俳優が演じているとは思えないまなざしの変化は、この時期に両作を並行して見るファンにしか味わえないぜいたくな醍醐味(だいごみ)といえるだろう。

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■名優パク・ソンウンとの火花散る攻防。サスペンスとコメディの融合
本作が、手に汗握る上質なサスペンスとして成立しているのは、イ・ジュニョクがまとう空気感に加え、相対する俳優陣との化学反応によるところも大きい。なかでも、ドンジェの天敵となるナム・ワンソンを演じるパク・ソンウンの存在感は圧巻だ。数々の作品で冷徹なヴィラン(悪役)を演じてきたパク・ソンウンが、本作ではドンジェを精神的に追い詰め、過去の闇へと引きずり戻そうとする重厚な悪役として立ちはだかる。

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殺人事件や薬物の不正取引といった、一歩間違えればノワール映画のような緊迫感が漂う展開のなか、この2人が繰り広げる舌戦と駆け引きは、ヒリつくような緊張感と同時に皮肉に満ちた笑いも生み出す。シリアスなサスペンスと、ドンジェの独白が生み出すブラックコメディの相乗効果が物語に独特のテンポを与え、至高のエンターテインメントへと昇華させているのだ。
今まさに俳優として円熟味を増しているイ・ジュニョク。その類いまれな演技の振り幅はもちろん、「性格は残念だがビジュアルは最高にかっこいい」ドンジェという唯一無二の男の奮闘を心ゆくまで堪能してほしい。

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文/川倉由起子




