ナ・イヌが「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」で果たした大ブレーク
2026.03.01
2025年は「初恋DOGs」で日本ドラマ初出演を果たし、韓国ドラマ「モーテル・カリフォルニア」ではMBC演技大賞の優秀演技賞を受賞したナ・イヌ。そんな今まさに勢いに乗る彼が、ブレークする大きなきっかけとなった作品が、時代劇「王女ピョンガン 月が浮かぶ川」だ。
本作は、韓国での放送中にナ・イヌが代役として急きょ抜てきされた作品である。周囲の心配をよそに、主人公オン・ダルを生き生きと演じ切った彼は、その年のKBS演技大賞で新人賞を獲得。実力でその名を世に知らしめた。

■三国時代の高句麗を舞台に、純朴な青年オン・ダルを好演
ドラマの舞台は、2000年代のブーム以降、数多くの名作が生まれた三国時代の高句麗だ。本作は久々の高句麗ドラマとしても大きな注目を集めた。

ナ・イヌ演じるオン・ダルは、カン・ハヌル演じる高句麗の英雄、オン・ヒョプ将軍の息子という設定だ。しかし、幼いころに父が権力争いに巻き込まれ処刑されたことから、部族の民と山奥でひっそりと暮らすことになる。
「この世には怒りも憎しみもいらない。馬鹿となり、静かに穏やかに生きていくのだ」という亡き父の遺言を守り、薬草を売りながらのんびりと暮らすオン・ダル。天気の良い日には空を仰いで「真っ青だ!」と無邪気に喜ぶ、少々風変わりで純朴な男に成長していく。
■クールな役から"大型犬男子"へ。ナ・イヌが見せるギャップの魅力
前作の時代劇「哲仁王后〜俺がクイーン!?〜」では、悪役的な要素もあるクールな役柄を演じたナ・イヌ。しかし本作のオン・ダルは、それとは正反対のキャラクターだ。閉ざされた人の心を優しく開き、癒やしていく姿は、まさに夜を照らす明るい月のようである("タル"は韓国語で"月"を意味する)。

昨今の韓国ドラマ界でトレンドとなっている"大型犬男子"の代表格ともいえるのが、ナ・イヌだ。188.6センチの高身長と端正な顔立ちを持ちながら、人懐っこい笑顔が印象的。その特性を活かした好演は、前作とは全く違う彼の新しい魅力を発見させてくれるだろう。
■キム・ソヒョンとのケミストリー 「ピョンガン王女とバカのオン・ダル」をモチーフにしたロマンス
本作は、韓国で有名な昔話「ピョンガン王女とバカのオン・ダル」(「ジョンニョン:スター誕生」でも劇中劇「まぬけと姫」として登場)をモチーフにしており、ラブストーリーとしての見応えも十分だ。
王女ピョンガンを演じるのは、子役時代から第一線で活躍するキム・ソヒョン。記憶をなくし刺客として育つヒロインを、りんとした気品と強さを持って演じている。自ら道を切り開くかっこいいヒロインと、彼女を慕う大型犬のようなオン・ダルの組み合わせは非常に相性が良い。あどけないキスシーンや、身長差のある2人が手をつないで歩く姿、おんぶをする風景には思わず心が温まる。

物語後半、因縁ゆえの切ない展開では、ナ・イヌが見せる大粒の涙に思わずもらい泣きしてしまうファンも多い。また、ピョンガンを身をていして守るシーンも、涙なしには見られない名場面だ。
■迫力のアクションと、代役という逆境を跳ね返したスターの輝き
前作「哲仁王后〜俺がクイーン!?〜」でも高く評価されたアクションシーンは、本作でも大きな見どころだ。前半の体格を活かした力強いアクションから、後半の精悍(せいかん)な身のこなし、そして荒野の戦場でのりりしい乗馬姿まで、その姿からは目が離せない。

撮影が9割方終わっていた状況での代役抜擢という異例の事態。再撮影という過酷なスケジュールの中でも、ナ・イヌはオン・ダルというキャラクターを完全に自らのものにした。今となっては、オン・ダル役は彼以外には考えられないほどの適役である。一人の俳優が真のスターへと羽ばたく貴重な瞬間を見届けられる、ファン必見の至高の一作といえるだろう。

文/高山和佳




