イ・ジェフン『交渉の技術』独占インタビュー 「役作りと白髪の意味」
韓国・アジアドラマ 見放題インタビュー
2026.03.20
冷静沈着な交渉の裏側で、人物の"心"が静かに動いていく――。
韓国ドラマ『交渉の技術』は、M&Aという一見難しいテーマで、選択の先にある人間関係や感情の機微をリアルに描いた話題作だ。主演を務めるのは、「シグナル」(2016年)や「復讐代行人~模範タクシー~」(2021年-)を筆頭に、数々の作品で存在感を放ってきたイ・ジェフン。本作で彼が演じるのは、"伝説の交渉人"と呼ばれるユン・ジュノという、冷徹さと人間味を併せ持つキャラクターである。
現在、『交渉の技術』はJ:COM STREAMで見放題配信中。
今回J:magazine!では、ユン・ジュノという人物像をどのように作り上げたのか、役作りの過程や印象的な白髪スタイルに込めた意味、そして作品を通して伝えたかった想いについて、イ・ジェフンに独占インタビューを行った。思考回路から役に近づけたという彼の言葉から、この物語の本質に迫る。
――『交渉の技術』の主人公であるユン・ジュノは、"伝説の交渉人"と呼ばれています。交渉人を演じる上で、役作りなど特に注力した点はどんなところですか?
「『交渉の技術』のユン・ジュノは、職業的に非常にプロフェッショナルな面を持っています。私がユン・ジュノという役をしっかりと表現するためには、ドラマで扱っているテーマに対して実際に関心を持ち、十分に理解している必要があると考えました。そのため、似たようなテーマの作品をたくさん探し、実話にも触れながら、思考回路そのものをユン・ジュノに合わせて生きていこうと努力しました」

――脚本を読んだ第一印象と、実際に演じてみて発見したジュノの意外な一面、発見があれば教えてください。
「M&Aという珍しい題材を通して世の中を眺めるドラマだという点が、非常に新鮮に感じました。既存のドラマではなかなか見られない観点だったので、すごく興味を持てたように思います。その中でもユン・ジュノは、一見すると非常に冷徹でプロフェッショナルな人物ですが、人と接する態度にはとても人間味あふれる面が感じられました。食事の時に写真を撮ったり、リゾートでの滞在費を支払う際にその金額に驚いたりする姿のように、『視聴者の皆さんと大きく変わらない人物なのだ』という部分もお見せしたいポイントでした」
――今回、日本が舞台のエピソードや日本人キャストとの共演シーンもありますが、撮影中に印象に残っている瞬間はありますか?
「『交渉の技術』の撮影当時、2週間ほど静岡に滞在したのですが、撮影がない日に俳優の方々やスタッフの皆さんと一緒に美味しいものを食べに行った時間が特に記憶に残っています。日本にいる間、あまりにも食べ物が美味しくて、自然と普段よりたくさん食べてしまいました。そのおかげで、静岡でジムを探して運動した記憶もありますね。撮影現場だけでなく、日常的な時間までもが良い思い出として残っています」

――M&Aドラマというジャンルは珍しいと思いますが、このテーマを演じる上で気づいた"意外な魅力"や"奥深さ"はありますか?
「『交渉の技術』は、私たちが今直面している政治、経済、社会の姿を、比較的リアルに描き出している作品だと思います。演じながら、現実が時には非常に冷酷で恐ろしく感じられることもありましたが、結局こうした選択の主体は「人」であるという点が印象深かったです。M&Aという特殊な題材を扱っており、タイトルだけ見ると多少冷たく感じられるかもしれませんが、じっくり見ていくと、結局は「人と人との心を繋ぐ物語」なのだと思います。日常の中で誰もが共感できる普遍的な感情と関係を込めた作品であるだけに、視聴者の皆さんにも温かさを感じていただければうれしいです」
――ドラマの脚本や演出で"ここはぜひ注目してほしい"というポイントやシーンはどこですか?
「この作品は、物語の展開がとても繊細で人間味にあふれていると感じています。単に交渉の結果や数字だけを見せるのではなく、その過程の中で登場人物たちがどのような感情を通して選択をしていくのかを細かく描き出している点に注目していただきたいです。エピソードが進むにつれ、ユン・ジュノという人物がなぜ会社に戻ることになったのか、そして彼がどのような本心を抱いているのかが少しずつ明らかになります。その好奇心が積み重なり、解消されていく過程に面白さを感じていただけるのではないかと思います」

――ユン・ジュノの白髪スタイルはとても印象的ですが、最初にこのビジュアルを見たときの感想を教えてください。
「初めて監督から白髪スタイルを提案いただいた時は、私が一度もお見せしたことのない姿だったので、正直とても心配でした。しかし、実際に白髪の扮装をして衣装まで完璧に整えてみると、その時初めて『ああ、これがユン・ジュノなんだ』という実感が湧きました。ユン・ジュノというキャラクターが持っているミステリアスさと見慣れない雰囲気が自然に込められたと思いましたし、ユン・ジュノとしてこれほど似合う姿が他にあるだろうかと思うほど、キャラクターに深く入り込むことができました」
――もし白髪スタイルをしていなかったら、ユン・ジュノという人物像は少し違って見えたと思いますか?
「ユン・ジュノが持つ完璧に近い内面が、外見的な第一印象からも自然に説得力を持つようになったのは、白髪スタイルが大きな役割を果たしたと思います。もし白髪でなかったら、キャラクターが持つ重厚感や説得力が今よりは少し弱まっていたかもしれません。おかげで、これまでの作品の中の人物とは差別化された特別なキャラクターが完成したと思っていて、非常に満足しています」

――イ・ジェフンさんはこれまで、感情を前面に出す役や行動力のある人物を演じることが多かったように思いますが、『交渉の技術』のユン・ジュノは、どんな点がこれまでと違っていたり、新しい挑戦でしたか?
「最近演じてきたキャラクターは、比較的派手なアクションや身体の動きを通してエネルギーを直接的に表現することが多かったと思います。一方、ユン・ジュノは、動きそのものはとても静的ですが、M&Aの専門家として交渉をする時に見せる冷徹な眼差しと、その奥にある温かいカリスマ性が重要なキャラクターです。外側に現れる表現は最小限に抑えながらも、内面のエネルギーは維持しなければならないという点で、これまで演じてきたキャラクターとは異なるアプローチが必要でしたし、その過程がとても興味深いチャレンジでした」
――「交渉の技術」をこれから楽しまれる日本の皆さんに見どころやメッセージをお願いします。
「私は『交渉の技術』を通して、私たちが生きる世の中を改めて学び、感じ、考えることができました。数字と選択の物語のように見えるかもしれませんが、その中には結局、人の心と関係が込められていると思います。日本の視聴者の皆さんにも、この作品が意味のある物語として、そして心が少しでも温まる時間として伝わることを願っています」
――最後に、ジュノに"交渉してでも譲れないもの(妥協できないもの)"は何ですか?
「私にとって譲れないものは『朝のリンゴ』です。朝にリンゴがないと、なんだか一日の準備が整っていないような気分になるんです。もうリンゴがない朝は、とても寂しく感じると思います。だから、リンゴを譲ることは難しいですね(笑)」





