ヒョンビン初期の名作ドラマ「雪の女王」と「愛の不時着」をつなぐ共通点

ヒョンビン初期の名作ドラマ「雪の女王」と「愛の不時着」をつなぐ共通点

2025年の「第46回青龍映画賞」にて、映画『ハルビン』で主演賞を獲得し、妻のソン・イェジンとともに夫婦で主演男優賞・主演女優賞を受賞したことでも大きな話題を集めたヒョンビン。年末から始まったドラマ「メイド・イン・コリア」での悪役演技も好評を博し、40代に入りさらに勢いを増している。そんな彼の若かりし頃の代表作「雪の女王」を紹介する。

■冬のソナタの脚本家が手掛けた切ないラブストーリー

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「雪の女王」は、ヒョンビンが「私の名前はキム・サムスン」で大ブレークした後に出演した切ないラブストーリーだ。"切ない"はドラマの紹介の際の常套句だが、これほど切なくて胸が押しつぶされそうになる作品は、昨今では珍しいかもしれない。

本作は、ヒョンビン演じる主人公テウンが、一面雪景色のフィンランドのラップランドを犬ぞりで旅する中、崖から落ちてしまうシーンから始まる。脚本は、韓流ブームを作った「冬のソナタ」の脚本家コンビ。同名のアンデルセン童話をモチーフにしたという。切ないラブストーリーながらもさりげなくそこかしこに伏線を張り、それをうまく回収していく展開は、冬のソナタに似ているかもしれない。

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物語の大きなポイントとなるのは、テウンの高校時代。数学の天才だったテウンは、14歳の生意気な少女と出会い再会を約束するが、そんな中、良きライバルであった親友が亡くなってしまう。この親友の死に、テウンはずっと苦悩することになる。自暴自棄になって高校を中退したテウンは、ドックと改名してボクシングジムの2階に住み込むようになる。8年後、ひょんなことからわがままで気の強いお嬢様のボラ(ソン・ユリ)と出会い惹かれ合っていくが、そこにはいくつもの壁が立ちふさがっていた。

■憂いを帯びた姿を味わえるヒョンビンの珠玉の初期作

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新作の「メイド・イン・コリア」ではふてぶてしい姿を見せているヒョンビンだが、本作では憂いを帯びた悲しげな横顔に目を引きつけられる。昨今はハードなテイストの大作に出演する傾向が強いが、かつては静かなテイストの文学的な作品に出演することが多く「雪の女王」は、まさにその代表作。ヒョンビンに興味を持ったなら絶対に見逃してはならない一作といえる。

「愛の不時着」でも軍人×ピアニストという役柄だったが、本作で演じるのはボクサー×数学の天才という役どころ。ヒョンビンは、屈強さと優雅さという相反する2つの面を違和感なく表現できる韓国俳優の中でも稀有な存在である。20年近く経ってもほぼ変わらない容姿にも驚かされるが、さらさらの長髪、無精ひげ、ちょっと猫背な姿勢も、テウンというアウトサイダーな役柄にぴったりだ。17歳の高校時代はおかっぱのようなヘアスタイルにクスッとさせられるものの、8年後のシーンからは美しさがどんどん増していく。

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本作で実力派若手俳優の仲間入りをしたヒョンビンだが、特に注目は涙の演技である。母の前で膝をついて号泣するシーン、親友の墓の前でポロポロと涙を流すシーン、ボラを想って涙が止まらなくなるシーンなど、ヒョンビンの繊細な演技に何度も泣かされてしまうはず。

そのほか、減量して挑んだというボクシングシーンも必見だ。想いを断ち切るためにサンドバッグを一心不乱に叩く演技も見応えたっぷりだが、新人王戦のシーンでは激しい殴り合いの演技も......。また、さらさらと数学の問題を解くシーンにも釘付けになる。天才に見せるために、数学を語る際はよどみなく話すよう心がけたという。

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16話の中でキュートな姿もそこここで見せている。なかでも教壇でトロットを歌う場面は、今では見られないいたずらっ子っぽいヒョンビンを味わうことができるシーンだ。アイドルグループFin.K.L.出身の女優として人気を博していたソン・ユリとの相性の良さも、本作の大きな見どころである。気が強く口は悪いが、持病に苦しみ、心根は素直で優しいボラ。そんな彼女を優しく見つめる眼差し、とことん尽くす姿に、年齢を重ねても清らかで真っすぐな印象を保つヒョンビンの持ち味が活かされている。現在のヒョンビンの萌芽を感じることができる貴重な一作といえるだろう。

文/高山和佳

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