チョンイー主演「蓮花楼」をYouTuber・李姉妹が2025年マイベスト中国ドラマに!

チョンイー主演「蓮花楼」をYouTuber・李姉妹が2025年マイベスト中国ドラマに!

中国文化の魅力やリアルな日常を発信する、日本在住の中国人YouTuber・李姉妹。姉・ゆんと妹・しーが、生い立ちや実体験を生かし、中国語学習から最新カルチャーまで幅広い情報を届けている。そんな2人が2025年に見た中国ドラマの中で太鼓判を押すのが、チョン・イー(成毅)主演の時代劇「蓮花楼」だ。若くして天下一の剣客となるも、今は名を変えて余命わずかなさすらいの医者・李蓮花(りれんか)が、若き捜査員・方多病(ほうたへい)と宿命のライバル・笛飛声(てきひせい)と共に、武術と推理力で陰謀を暴いていく――。王道の武侠ドラマでありながら、それだけではない作品の魅力について語ってもらった。

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ゆん「『蓮花楼』は中国で2023年に放送されて大ヒットしていたので、タイトルはもちろん知ってたけど、なかなか見るタイミングがない中、今年(2025年)出版された原作小説の日本語版をいただいて。そういえば、まだドラマを見ていなかったと思って、ちょうど産休中だったので見始めたら、久々に"どストライク"な武侠ドラマで引き込まれた!」

しー「YouTubeの視聴者さんにも、この作品や主演のチョン・イーさんのファンがすごく多いよね。だから、私もいつか見たいって思いつつ、見たい作品が多過ぎて、つい先延ばしに(笑)。でも、お姉ちゃんから面白いと聞いて、日本でも配信が始まったタイミングだったので見ることにしたんだよね。あえて事前情報を入れずに見始めたら、久しぶりの武侠ドラマで私もすごくワクワクした!」

ゆん「私たち、もともと武侠ドラマが大好きで、特に『射鵰英雄伝(しゃちょうえいゆうでん)』の大ファンなんだよね。『蓮花楼』は、まさに王道の武侠の世界観がありつつ、謎解きの面白さもあってすごく入りやすい作品だった。だから、武侠ドラマにまだ触れたことがない人にも、自信を持ってオススメ!」

しー「謎解き要素が、時代劇だからって構えずに楽しめるのも魅力だよね。武侠ドラマならではの世界観がある一方で、殺人事件などの個々の事件を、探偵さながらに解き明かしていく軸があるから、すごく見やすい。いろんな人が引きつけられる理由が分かる気がする」

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ゆん「ヒットの理由はいろいろあると思うけど、まずはストーリーが理解しやすいこと。実際に中国でも、話は複雑なのに分かりやすいって反響が多かったよね。しかも王道の武侠ドラマでありながら、古さを感じさせない新しい要素が盛り込まれている。そこが受け入れられたんだと思う」

しー「確かにそうかも」

ゆん「ストーリーが本当に素晴らしくて、現代にも通じるテーマがあるよね。主人公は、もともと李相夷(りしょうい)という天下一の剣客だけど、戦いで毒に侵され、ほとんど武力を失って、李蓮花と名前を変えてさすらいの医師になる。それだけの落差がありながら、李蓮花になってからの彼は、力を抜いて日々を丁寧に生きていく。例えば、ガーデニングしたり...」

しー「料理したり!」

ゆん「実際、それに影響されてガーデニングを始めた人もいたそうだし。今の中国では、忙しさに追われずに丁寧な暮らしや癒やしを求める人が増えていて、小さな幸せを大事にしたいという人が増えているよね。『蓮花楼』は、まさにその感覚を味わえる作品。激しい戦いや謎解きもある一方で、日常の温かいシーンが心に刺さって、高く評価されたんだと思う」

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しー「武侠ドラマという昔ながらの王道ジャンルとして見慣れている中に、現代人に刺さるポイントをしっかり入れてきている。時代劇は、あまり自分の生活と照らし合わせることはないかもしれないけど、李蓮花の暮らしぶりは『いいな、マネしてみたいな』と思えるところがある。彼が暮らす、動く家"蓮花楼"もステキで、ワクワクするような仕掛けもあって...キャンピングカーみたいな感じ?」

ゆん「すごく話題になったね。SNSでは"蓮花楼"をモデルにミニチュアをDIYした人がいたり、一級建築士の人が図面まで作って投稿したり」

しー「現代人でも共感できるのはいいよね」

ゆん「李蓮花は波乱万丈な人生を送っているキャラクターだから、セリフにも刺さるものが多い。もう無理しなくていい、もっと自分に優しくしていいんだよって背中を押してくれるような言葉が多くて」

しー「メッセージ性みたいな?」

ゆん「そう。チョン・イー自身も、この役を演じたことで何かトラブルがあった時や、物事がうまくいかない時の考え方が変わったようなことをインタビューで話してた。だから、作品として楽しめるだけでなくて、自分の心にも寄り添ってくれるような気づきがすごく多いなって思う」

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ゆん「中国で高く評価されていた通り、チョン・イーの演技力は本当にすごかった! 彼は今、中国で絶大な人気がある上に実力派。『チョン・イーが出ているドラマなら間違いない』と言われるほどだよね。遅咲きの俳優で、ブレークしたのは2020年の『琉璃~めぐり逢う2人、封じられた愛~』。その時、すでに30歳くらいで下積みが長い分、苦労もしてきた人。だからこそ演技は本物で、信念を持って作品に向き合う頑固さもある。まさに、実力でトップに上り詰めてきた俳優だよね」

しー「もちろん見た目がカッコイイというのも人気の理由だけど、演技力や人間性に引かれるファンが多い印象かな。そういう中身の部分で作品との相性も良くて、キャラクターに深みが出るのかも」

ゆん「私もチョン・イーはすごく好き。特に、スタントを使わずに自分で演じているという、こだわりのアクションにはほれぼれする」

しー「アクションは武侠ドラマの見どころだよね。そこの手を抜くと、視聴者はすぐに気づくと思う。でもこの作品は、その期待にしっかり応えてくれる」

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ゆん「アクションでいうと、捜査員の方多病を演じたツォン・シュンシー(曾舜晞)と、李相夷のライバル・笛飛声役のシャオ・シュンヤオ(肖順堯)の演技も見応えがあった。役柄的にアクションシーンの比重が大きいこともあって、それぞれの見せ場がしっかりあったし、3人ともアクションのスタイルが全然違うので、バランスが良かったよね」

しー「確かに、いい3人組だったよね。でも最初、この人も仲間になるの?って意外性を感じた」

ゆん「いい間柄というか。トップから転落した主人公と、悪のカリスマと...」

しー「ちょっとカワイイ若手!」

ゆん「若くてカワイイけど、強いみたいな。あの3人の組み合わせがすごくいい!」

しー「時代劇は、美しい男性キャラクターがたくさん登場することも魅力の一つだよね。私は誰々推し!みたいに。今の推し文化と相性がすごくいいから、自分の推しキャラを見つけると、さらに見るのが楽しくなると思う」

ゆん「今考えると豪華だよね。みんな主役級」

しー「そうだね。そういう3人が同時に主役みたいなキャラクター」

ゆん「こういうドラマはなかなかないよね。本気度が高い」

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しー「それから、恋愛が前面に出てこないのも特徴だと思う。男女の恋愛はほんの少し描かれる程度で、メインストーリーには入ってこない」

ゆん「その点もすごく評価されてるよね。恋愛がないのがいいみたいな」

しー「最近、そういう傾向あるよね。日本のドラマでも、恋愛中心ではなくて、もっと別の要素を見たいって声があるんじゃないかな。『蓮花楼』は、まさにそこに応えてくれる作品。恋愛に頼らなくても、人間関係のドラマがしっかり面白く描かれているところが魅力だと思う」

ゆん「友情や家族の絆といった部分が丁寧に描かれているので、とても見やすい。少年漫画が好きな方にもオススメ。仲間と一緒に冒険へ出るようなワクワク感があるから」

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しー「ミステリー好きの方にも刺さると思し、武侠好きだけでなくどんな人でも楽しめる作りになってる。方多病が李蓮花に置き去りにされるシーンでの、二人のコミカルな掛け合いとか」

ゆん「私もそのシーン好き。いつ李蓮花の正体が李相夷だと、それぞれが気づくタイミングは違うけど、気づいた時にどんなリアクションするのか気になった」

しー「続きが気になると思わせる仕掛けの一つだよね。どのタイミングで真実が明かされるのかが、物語の軸にもなっている。方多病なんて、李相夷が自分の師匠だって言ってるのに、目の前にいても全然気づかないし(笑)」

ゆん「でも、恋愛要素も実は良かった。なくてもいいけど、やっぱり少しは欲しいみたいな(笑)。主人公にあまり恋愛のイメージがないからこそ、余計に気になる。中国ドラマでは、恋愛には興味ないクールなキャラが実は溺愛するっていう展開が定番だけど、『蓮花楼』はその王道とも少し違う雰囲気で。どう展開していくんだろう?っていうワクワク感も楽しめた」

しー「李蓮花は現代でいうと、仕事人間タイプだよね」

ゆん「恋愛の優先度がすごく低そうみたいな」

しー「だからこそ、余計に切なさがあるんだよね」

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ゆん「李蓮花が毒に侵されているという設定もそうだけど、この作品ではその状態で10年も耐えて、かつての自分を捨てて、いろんなものを諦めようとしている。でも、兄弟子のことだけは探し続けている。その葛藤がすごく人間的で、胸に刺さる」

しー「早期リタイアしたはずなのに、どうしても諦めきれないものがある。そんな姿にも共感するよね」

ゆん「これぞ中国時代劇!という王道の要素がギュッと詰まっている作品だけど、きっと誰しもどこかで刺さるポイントがあると思う。本当にたくさんの人に見てほしい!」

しー「2025年に見た中国ドラマの中では文句なしのベスト! しかもこれまで見てきた作品の中でも、かなり上位に入る面白さ」

ゆん「もし、私たちのYouTube動画で『おすすめ中国ドラマ●選』の最新版を作るなら必ず入れるよね」

しー「絶対入れたい!」

取材・文/神野栄子

【プロフィール】
李姉妹
中国で生まれ、日本、ニュージーランドを経て日本で暮らしている姉・ゆんと、日本で生まれ、幼少期は中国で過ごして6歳から日本在住の妹・しーの中国人YouTuber。2018年にYouTubeチャンネル「李姉妹ch」を開設。中国語の学習方法や中国文化についての動画を発信している。2025年12月現在チャンネル登録者39万人超。

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