チャオルースー（趙露思）が真実の愛で輝く「星漢燦爛」ほか、中国宮廷ドラマ5選

2025.11.28

中国ドラマの時代劇といえば、皇帝や王が暮らす宮廷を舞台にした作品が定番。そこでは、権力をめぐる策略や裏切り、復讐（ふくしゅう）が渦巻く一方で、胸を焦がすロマンスも生まれる――。そんなドラマチックな世界を、若手からベテランまで多彩な俳優陣が彩る物語をご紹介！

■星漢燦爛＜せいかんさんらん＞

子役時代から活躍するウー・レイ（呉磊）と、若手トップ女優チャオ・ルースー（趙露思）が主演を務めた話題作。中国本土だけでなく、台湾やシンガポールなどでも人気を集めた。物語は、復讐の念を秘めた若き将軍・凌不疑（りん・ぶーいー）と、親の愛を知らずに育った少女・程少商（ちょん・しゃおしゃん）が、すれ違いを重ねながらも強く結ばれていく姿を描く感動のラブストーリー。カリスマ的な存在の凌不疑に憧れる女性たちから嫌がらせを受けても、程少商は持ち前の知恵とたくましさで立ち向かう。その姿は痛快で、見る者を惹きつける。

やがて、皇帝の義理の息子として育った凌不疑との関係から、程少商も宮中で暮らすことに。凌不疑を溺愛する皇帝や、程少商に礼儀作法を優しく教える皇后など、個性豊かな宮廷の人々が織りなす人間ドラマも見どころだ。さらに、建築好きの程少商が心を奪われる宮廷の美しい建築描写も、この作品ならではの大きな魅力の一つだ。

■与君歌～乱世に舞う運命の姉妹～

(C)️H＆R CENTURY PICTURES CO.,LTD

2020年に中国で大ヒットした「瑠璃～めぐり逢う二人、封じられた愛～」で共演したチョン・イー（成毅）とチャン・ユーシー（張予曦）が再びタッグを組んだラブ史劇。舞台は架空の"大興王朝"だが、唐の文宗が即位していた835年に実際に起きた政変「甘露の変」が物語のベースとなっている。宦官（かんがん）が絶大な権力を握る中、彼らを排除しようとした官僚たちの計画が失敗してから8年後――。若き皇帝・斉焱（せいえん）は人望を得られず、実権を握れないまま苦悩していた。そんな彼を支えるのが、皇帝の護衛役として仕える程若魚（てい・じゃくぎょ）。彼女は斉焱を守りながら、政権を取り戻すための闘いに身を投じていく。

(C)️H＆R CENTURY PICTURES CO.,LTD

かつて皇帝に仕える立場であった宦官が、いつしか頂点に立つ――そんな宮廷内の権力のゆがみを描いた究極の宮廷劇。斉焱の葛藤と成長、彼を支える程若魚の使命、そして長く離れていた姉との因縁が複雑に絡み合うストーリーに心を奪われる。唐の時代を思わせる華やかな衣装や、女性たちが額に描く「花鈿（かでん）」のメイクなど、ビジュアル面でも見応え抜群だ。

■卿卿日常～宮廷を彩る幸せレシピ～

異なる文化や価値観を持つ9つの"川（せん）"＝国が存在する架空の世界を舞台に、これまでにない宮廷生活を描いたラブコメ時代劇として話題を呼んだヒット作。物語は、九川を率いる新川（しんせん）の川主の息子たちが、他の川の娘を夫人に迎える「選抜会」から始まる。男女平等の社会である霽川（せいせん）で育った李薇（り・び）は、男尊女卑の風習が根強い新川に嫁いでも幸せになれないと考え、わざと落選するつもりで参加する。ところが、思いがけず六男・尹崢（いん・そう）の側室に選ばれてしまう。

早く離婚して故郷に戻ることを夢見ていた李薇だが、尹崢の誠実な人柄に次第に惹かれていく。表舞台では後継者争いが、後宮では正室の意地悪や妃たちの駆け引きが渦巻く中、李薇は同時期に嫁いだ女性たちと力を合わせて困難を乗り越えていく。その姿がすがすがしく、本作を他の宮廷劇とは一線を画す存在にしている。さらに、食いしん坊の李薇が味わう数々の宮廷料理も見どころ。美食を通じて育まれていく恋と絆が、作品に温かな彩りを添えている。李薇をティエン・シーウェイ（田曦薇）、尹崢をバイ・ジンティン（白敬亭）が演じる。

■春花焔～Kill Me Love Me～

リウ・シュエイー（劉学義）とウー・ジンイエン（呉謹言）が共演する、クールな美男美女による宮廷復讐ロマンス。陰謀と策略が渦巻く宮廷を舞台に、愛と憎しみが交錯する物語が繰り広げられる。ウー・ジンイエンが演じるのは、大虐殺によって最愛の家族を失い、復讐を誓って暗殺集団で過酷な修行を積んだ女性・眉林（めい・りん）。その復讐相手は、リウ・シュエイー演じる大炎国の第三皇子・慕容璟和（むーろん・じんほー）だ。"虐殺将軍"と恐れられ、10万の民を死なせたとされる慕容璟和に近づくため、眉林は宮中に潜入する。

しかし、物語が進むにつれ、彼女が知る"真実"が全てではなかったことが明らかになっていく。本性を隠す者、ひそかに恋心を抱く者、癒やしの存在となる者――複雑に絡み合う人間模様の中で、2人の心はいつしか惹かれ合っていく。心に傷を抱えた者同士の愛が、復讐という名の運命をどう超えていくのか。宮廷劇のスリルとロマンスの切なさが融合した、濃密なドラマとなっている。

■星河長明運命の妃と不滅の帝

「斛珠＜コクジュ＞夫人～真珠の涙～」などで知られる、架空の9つの州を舞台にした"九州シリーズ"の一つ。空を飛ぶ羽族も登場する壮大な世界観の中で、愛と運命を描くファンタジー・ラブロマンスだ。晁（ちょう）王朝の皇帝・彧修明（いく・しゅうめい）を演じるのは、実力派俳優ウィリアム・フォン（馮紹峰）。そして、晁王朝に従うことを拒む夜北（やほく）一族の娘で、凶事を予見する能力を持つ葉凌霜（よう・りょうそう）を、「東宮～永遠の記憶に眠る愛～」で注目を集めたポン・シャオラン（彭小苒）が演じる。

運命的な出会いを果たした2人だが、すぐに恋に落ちるわけではない。不死の力を持つ彧修明は、九州の平定を目指しながら王朝内の不穏分子に立ち向かい、葉凌霜は親友を救うため、時間を戻す術を探し続ける。政治と陰謀、そしてそれぞれの使命が交錯する中、2人の間に少しずつ芽生える想いが丁寧に描かれていく。壮麗な宮廷描写も見どころの一つで、クライマックスで描かれる、ある目的を秘めた2人の婚礼シーンは、皇帝と皇后にふさわしい華やかさと感動に満ちている。ファンタジーでありながら、宮廷ドラマとしても見ごたえがある。

文／神野栄子