【古家正亨連載】パク・ボゴムを語るならこのドラマ!「雲が描いた月明り」

古家正亨

古家正亨 (ラジオDJ/イベントMC)

ラジオDJ、イベントMC。 K-POPなどの「韓流」カルチャーを20年以上にわたり日本に紹介してきた古家正亨が、毎月オススメの韓流コンテンツを紹介。

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【古家正亨連載】パク・ボゴムを語るならこのドラマ!「雲が描いた月明り」

先日、俳優のパク・ボゴムさんが約6年ぶりの来日ファンミーティング『PARK BO GUM 2025 FAN MEETING TOUR [BE WITH YOU] IN JAPAN』を、2025年7月26日、27日の2日間に渡って、横浜・ぴあアリーナMMで開催。2万人以上のファンが集い、盛況のうちに幕を閉じました。J:magazine!をご覧いただいている方の中にも参加された方、たくさんいらっしゃったのではないでしょうか。僕は2日目の27日にMCを務めさせていただき、お仕事では9年ぶりにステージで再会を果たしました(その間、MAMAでMCとして来日されたボゴムさんに舞台裏ではご挨拶だけはしていたんです)。再会は、2017年12月24日、クリスマスイブに開催された「パク・ボゴム 日本ファンクラブ発足記念ファンミーティング」以来で、この時のボゴムさんとの思い出は、僕の韓流仕事史においても決して忘れられない記憶になっています。

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2017年というと、ドラマ「雲が描いた月明り」(2016年)が、テレビ東京で日本初放送され、DVD・Blu-ray化された年。そう、まさにこのドラマによって、ボゴムさんの人気が、日本で頂点を極めようとしていた時期。僕はありがたいことに、このドラマのプロモーション関連のお仕事でボゴムさんとご一緒することになり、数日間、イベントや記者会見、インタビューなどで時間を共にし、韓国国内ではすでに話題になっていたその人柄の素晴らしさを身をもって体験しました。数々の韓国のスターの方と約25年に渡ってお仕事させてもらいましたが、ボゴムさんはその中でも特にその人柄の素晴らしさ...具体的には"謙遜と配慮の人"と言えばわかっていただけるでしょうか。いつまでも一緒にいたいと思わせるその人間力から、本当に良い環境で育って、良い教育を受けてきたんだろうなと誰もが感じると思います。彼のことを悪く言う人は、誰もいないんですよね。それを嫉む人はいるかもしれませんが......。なので、僕にとっては、ボゴムさんと言えばこのドラマというくらい、強烈にリンクしているんです。

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とはいっても、韓流ドラマを代表する作品として、これまでさまざまなメディアがこれでもかと取り上げてきたこの作品を、あえて僕があれこれいう必要もないと思いますが、今回は、僕目線でこのドラマの魅力を紹介できればと思います。

ストーリーは、韓流ドラマのテッパン設定である男装歴史モノ。そうせざるを得なかった背景を持つ美しい少女が男装し、男性として生きることを選択。そこで身分を超えて、時の皇子が女性であることに気づき、さまざまな困難を乗り越え、その愛を成就させるという、これまでも何度も描かれてきた内容と言えばそれまでですが、でも、見ることができちゃうんですよね。

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ヒロインのホン・ラオンを演じるのは、天才子役として知られてきたキム・ユジョンさん。男装してホン・サムノムと名乗り内官となって、王宮で世子であるパク・ボゴムさん演じるイ・ヨンと出会い、さまざまな壁を乗り越え愛を育んでいくわけですが、このドラマで圧倒的なのは、ボゴムさんの絶妙なツンデレ感ではないでしょうか。世子としてさまざまな困難や葛藤を日々抱えながら、それをなかなか外に出せない苦悩をボゴムさんはせりふではなく表情で巧みに表現し、その一方、ラオンの前だけで見せる、とても朗らかな笑顔は、いかに彼女に対してだけ心を許しているかを表現するそのコントラストに、個人的にはボゴムさんのこのドラマにおける最高の魅力を感じたんですよね。

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ただこのドラマ、陰の主役はB1A4出身のジニョンさん演じたキム・ユンソンだと思うんですよね。ジニョンさんとの付き合いも、B1A4のメンバーとしてデビューしてからあったので、個人的にも、ジニョンさん演じるユンソンにはドラマを見る前から興味津々だったんですが、この作品で、ジニョンさんは演技者として一皮むけた気がするんです。時の政治には興味なく、絵を描くことに興味があり(彼自身も音楽家として曲を生み出す作業をしてきたので、そういったアーティスティックな感性はしっかりキャラにも受け継がれていますよね)、なかなか他人に心を開かずに生きていたユンソンが、いち早く男装をしたラオンに気づき、そんな彼女に献身的な日々を過ごしていくことになるわけです。

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これまでもさまざまな韓流ドラマで描かれてきたいわゆる三角関係、四角関係ですが、このドラマにおいて、イ・ヨンとラオン、そしてユンソンは、まったく最初から最後までそうなりません。イ・ヨンとラオンは惹かれ合いますが、ラオンはユンソンを見向きもしないという徹底ぶり。彼女を想う気持ちは明らかにユンソンの方が上なはずなのに、そのあまりにも切ない彼を想うと、その姿が、だんだん滑稽に見えてきます。古家目線でこのドラマを見たとき、一番「え、え?」と思ったのがまさにここで、「そこまでユンソンのことを無視しないでよ」って何度も画面のラオンに文句を言っていた自分がいます。そして、ユンソンに待っている壮絶な運命に二度目の「え、え?」。ちょっとあまりにもかわいそうに感じました。ただ、彼の存在は、確かにこのドラマを成功に導いたのは間違いありません。イ・ヨンの唯一の護衛で親友でもあるキム・ビョンヨン役のクァク・ドンヨンさんの演技も良かったなぁ。ある意味、彼も含めた四角関係がこのドラマのポイントかも知れません。

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そして、OST(オリジナルサウンドトラック)もすごくいいんですよ。もはやOSTクイーンとして絶大な信頼を得ているGUMMYさんの歌う愛のテーマ「雲が描いた月明り」はもちろん、ジニョンさんがアーティストとして制作に携わった「霧の道」は、OSTに欠かせない存在となったファルセットが魅力の女性シンガー・Benさんによって、叙情的な楽曲に仕上げられています。そして、何といってもパク・ボゴムさんが歌った「愛しい人」でしょう。そもそも彼は歌手としても才能が高く評価されていたわけですが、イ・ヨンの心模様を繊細に表現した歌詞を、実に感情表現豊かに、優しく歌ったこの曲があったおかげで、よりドラマを魅力的にしてくれていると思います。とにかくこれ以外にも韓国の当時のトップスターが参加したこのOSTは、OSTとしての聴き方はもちろん、オムニバスアルバムとして聴ける名作にも仕上がっているので、ぜひ聴いてほしいです。

定番要素のミルフィーユ的な作品であっても、魅力的な俳優とその演技、そして、OSTによって、新しい魅力を生み出せるのが韓国のドラマの強みの一つですよね。それを改めて感じさせられた、見逃すにはもったいない力作です。

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