ワン・イーボー(王一博)の新たな魅力開花!主演ドラマ「追風者 ~金融界の夜明けへ~」で魅せる葛藤と覚醒
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2025.08.10
活躍目覚ましいワン・イーボー(王一博)が、また新たな魅力を発揮している。1930年代の上海を舞台にした主演ドラマ「追風者 ~金融界の夜明けへ~」だ。民国期といわれる、王朝による統治が終わって社会構造が激変していくという国が揺れ動いた時代。混沌とした世界で争いも生まれる中、本作は金融界での人間ドラマが繰り広げられる。ワン・イーボーが演じるのは、カネもコネもないが驚異的な計算力と記憶力を武器に上海の金融業界へと飛び込む青年・魏若来(ウェイ・ルオライ)。時に葛藤し、時に血を流し、"革命"に身を投じていく。
(C)BEIJING IQIYI SCIENCE AND TECHNOLOGY CO.,LTD.CCTV.
■厳しい世界で使命を持って生き抜く主人公の変化をワン・イーボーが魅せる
魏若来は、上海の会計学校に通うも、出身地の江西省が共産党の本拠地であるという理由で卒業証書がなかなか授与されず、日雇いの仕事などで生計を立てていた。国民党と共産党は国を強くするという同じ思いがあるにも関わらず、権力の争いが発生し、共産党に関わる者は摘発対象にもなっていたのだ。
夢だった国民党の中央銀行の採用試験に挑んだ魏若来だったが、能力を高く認められながらも、やはり出身地を理由に不合格になった。だが、あきらめきれない魏若来は、中央銀行の上級顧問・沈図南(シェン・トゥーナン/ワン・ヤン)にあらためて接触を図り、助手として採用される。
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ついに始まる金融界での日々。持ち前の能力で仕事への適応力はあるが、さまざまな困難が降りかかる。沈図南の秘書に嫉妬から意地悪されるというのは軽いもの。ある事情から拷問を受け、血まみれになる魏若来は、思わず顔をそむけたくなるほどだ。
さらに、政治、経済と密接な業界は闇深く、陰謀が渦巻き、腐敗を目の当たりにした魏若来は、信念が揺らいでいく。
ワン・イーボーといえばクールさも魅力の一つだが、本作の魏若来は初め、素朴でどこか弱そうなところも感じさせた。そこから、拷問される様子を迫真の演技で体現し、葛藤、苦悩しながら次第に変化していく魏若来の姿を丁寧に表現。その顔つきの違いは目を見張るものがある。ピンチを切り抜ける頭脳としたたかさも秘め、覚醒していく骨太な作品の主人公を、説得力持たせる演技で盛り上げる。
■ワン・イーボーふんする魏若来を取り巻く魅力的なキャラクターたち
魏若来と密接に関わるキャラクターも光る。イケオジな魅力を持ったワン・ヤンが演じる沈図南は、ドイツ留学をしたエリート。本作の舞台となった民国期は、海外に留学することがステイタスとなり始めた時代だ。そんな時代を反映したキャラクターであり、国の経済をけん引する一人ともいえる役職で大きな志を持つ切れ者。魏若来はそんな沈図南に共鳴し、沈図南は優秀な魏若来に信頼を置くようになる。2人の絆が胸を打つ。
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もう一人、魏若来に大きな影響を与えるのが、沈図南の妹・沈近真(シェン・ジンジェン/リー・チン)。沈近真もドイツ留学をし、ピアノが得意な面がありつつ、仕事は軍需工場で兵器の開発をするエンジニアと、女性たちが自立をする時代を象徴する。しかし、それは表の顔というのがおもしろいところでもある。実は、共産党の地下組織メンバーとして暗躍しているのだ。魏若来と初めて出会ったときも、仲間のため狙撃して逃げるところだった。
国民党を支持する沈図南とその下で働く魏若来、対立する立場の共産党工作員である沈近真。時代のスリリングさに、3人の関係がどうなっていくのかというドキドキが加わり、目が離せなくなる。
■ノスタルジックな上海の街並みも見どころ
西洋文化が流れ込んだ時代ということで、魏若来たちが生きる上海の街並みは趣がたっぷり。建築物や人力車もまだ活用される中での自家用車の登場など、1930年代へと誘ってくれる。
また、洋服にお金をかけられなかった魏若来が、沈図南にあつらえてもらった高級スーツや靴に身を包むシーン。経済の中心地である上海の先端で生きる青年という雰囲気に一瞬で変わった様子にドキッとさせられる。沈近真のワンピースなどの洋風の装いも美しい。美術セットや衣装が当時の空気感やキャラクターを表現する名脇役となり、魏若来たちの物語を引き立てる。
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文/神野栄子