ジュノ(2PM)が体現する王の深い愛...「赤い袖先」に沼落ち
2025.08.01
自分の人生を生きるために選択を積み重ねようとする宮女と、国を守るために重圧に耐え抜く王を描いたロマンス史劇「赤い袖先」。切ない恋愛物語というだけでなく、2人の"生き方"を映し出すような本作。一度見始めると、あまりの没入感と完成度の高さから、寝不足になってしまうほどのめり込んでしまう。賢く芯の強い宮女ソン・ドギムは、「王になった男」など話題作に出演し、視聴者を魅了し続けるイ・セヨンが好演。繊細さと力強さを合わせ持つ世孫イ・サンは、ジュノ(2PM)が演じ、第58回百想芸術大賞TV部門では最優秀演技賞にも輝いた。本記事では、作品の見どころや魅力を紹介したい。
(C)2021MBC
■背中合わせで生きる、女官と王の恋
冷静で弁が立つ見習い宮女ドギム(イ・セヨン)は、思わぬ事故で世孫サン(ジュノ/2PM)と池に落ちてしまう。反省文を出すことになったドギムは、書庫で出会った男性に相談していたのだが、実は彼こそが世孫で......。顔を合わせれば言い合いが絶えない2人だが、根底にあるのは信頼と尊敬の気持ち。サンが国王に即位できるよう守り抜くことを誓ったドギムは、二人三脚で苦楽を共にし始める。サンに危機が迫る状況ではドギムが助け、彼もまた彼女を守る姿は、互いの背中を預けあう最高のパートナーにも見える。
劇中では、ドギムが自分自身の人生を歩みたいと願う一方で、サンを恋慕う気持ちに抗えずに思い悩む様子が見どころ。「私のすべては世孫様のものではない。一介の宮女にも意思があり心がある」と言い切るドギムのセリフが印象的で、彼女の人生の選択から片時も目が離せない。また、真っ直ぐな思いをぶつけるサンの告白や溶けそうになるほど甘い彼の愛情表現も良く、思わず心が揺さぶられてしまう。
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■ツンデレで、唯一無二の"メロフィンガー"
心の底で愛を求め続ける孤独な世孫サンを演じるのが、ジュノ(2PM)。アイドルグループ・2PMのメンバーとして活躍しながら「キム課長とソ理事~Bravo! Your Life~」(2017)や「ただ愛する仲」(2017)などに出演し、俳優としても常に"人生キャラクター"(演じた役柄の中で、特に視聴者の記憶に残り、愛されたキャラクターのこと)を更新し続けている。劇中では、亡き父の影を孫に投影する祖父の重圧に耐え、いつも葛藤の表情を見せるのだが、ドギムの前では少年のように笑うのが沼落ちポイントの一つ。普段は冷静でツンツンしているが、ふとした瞬間に見せるギャップや、抑えきれない独占欲を表現した表情も流石だ。さらに、指先だけで愛情表現をしているのもすばらしく、あまりの繊細さに"メロフィンガー"というあだ名がつくほど。ドギムを求める一途さと、自由に生きて欲しいと願う優しさが入り混じる複雑な感情を見事に表している。
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■何層にも重なる物語と、血の繋がりを超えた支え合い
"登場人物の数だけドラマがある"というのが、本作のもう一つの魅力ポイント。恋・仕事・友情など、複数のサブストーリーが並行して展開していくため、最後まで視聴者を飽きさせず心を掴んで離さない。上司と部下の描き方はお仕事ドラマを見ているようでもあり、女官たちの支え合いは家族ドラマを見ているようで、普段史劇を見ないという方にもおすすめしたい作品だ。サブストーリーの中でも、幼少期から時間を共にした女官たちの深い絆が見どころ。本当の母親のようにドギムを育て守り続ける尚宮との関係性は、物語に安心感と癒やしを与えてくれる。また、ヒリヒリするような過酷な展開の中でも、常に支え合う女官たちの姿には何度も胸を熱くさせられる。
2021年MBC演技大賞で8冠を獲得するなど、韓国内での評価も高く、アジアで"袖先シンドローム"を巻き起こした「赤い袖先」。完成度の高さから、放送後も"ロス"になる視聴者が続出。お気に入りシーンを何度も見返した人も多いだろう。女官はどのような人生を歩んでいったのか、王の深い愛はどのような結末を迎えるのか、改めてご堪能いただきたい。
文/韓国ドラマ好きのだらだら子