チョン・イー(成毅)インタビュー!「蓮花楼」のキャラクターを通して伝えたいこととは【「蓮花楼」特集・後編】

チョン・イー(成毅)インタビュー!「蓮花楼」のキャラクターを通して伝えたいこととは【「蓮花楼」特集・後編】

チョン・イー(成毅)が主演を務めるサスペンスアクション時代劇「蓮花楼」が女性チャンネル♪LaLa TVで2月27日(木)から放送される。本作は、最初は敵対していた三人の男たちが一緒に謎を追いかけていくうちに成長し、絆で結ばれていくアツい物語が話題に。中国のテレビドラマに関する賞レースで16冠を獲得するなど高い評価を受けた。本作でチョン・イーは伝説の剣神といわれた李相夷(りしょうい)と、さすらいの医師・李蓮花(りれんか)を演じている。二役といっても同一人物なのだが、ある事情から10年後に名前が違うばかりか、異なる雰囲気の人物になっているという難しい役どころ。その演じたキャラクター、また演技や撮影秘話を聞いた。

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――李相夷と李蓮花という二役ですが、どんな主人公だと思いますか?

「本作はオーソドックスな武侠ドラマではなく、天下一の剣客から普通の庶民に転じた人物です。李相夷と李蓮花は同一人物ですが、同じではありません。作品の中にその答えがたくさん見つかるはずです。李相夷は天下一の剣侠で、誇り高い人物。李蓮花は敵討ちをするでもなく、別の生き方を選び、庶民を見下すこともなく、自分自身にまっすぐ向き合います。僕個人としては、いろいろなものを手放し、自分自身を開放した李蓮花がとてもいいなと思います」

――李蓮花に一番惹かれる点は?

「俳優として役を選ぶとき、演じたことがない役、試したことがないジャンル、胸を打たれるポイントの有無を見ます。本作は逆境から反撃する成長物語で、その点が僕にはとても新鮮に感じられ、挑戦したい、試してみたいと思う役でした。さまざまなことに対して、自分自身の考え方を変えなければいけないとも感じました。役柄としてだけでなく、僕自身の心に触れることが多かったです」

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――李蓮花を演じ、無意識のうちに影響を受けたことや変化したことはありましたか?

「固執するのはよくない、突き詰める必要もない、ということです。常に、どう自分を変えるかを学び取っていけばいいのだと。どうやって自分と向き合い、変化し、自分を発見し、救うか。個人的なことですよね。李蓮花はそれを実践している人物です」

――李蓮花の細かいキャラ設定は?

「どんな役柄でもオリジナルの設定があります。蓮花はうそをつくときや人から聞きたくないことを言われて話題を変えようとするとき、よく鼻をこすったり、拳を握ったり、そっぽを向いたりします。弱者のふりをして不意打ちを食らわせるようなところがありますね。また、かなり無礼なやり方で人の話を断ち切ることもある。でも相手を立てて、遠回しな言い方をすることもあります。アドリブを思い付くこともありますが、あまりやりすぎないようにしました」

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――チョン・イーさんは以前からアクションがお好きで得意とおっしゃっていますが、アクションシーンが多い「蓮花楼」で新しい挑戦はありましたか?

「本作のアクションシーンには、アクション指導の先生がいました。とても経験豊富なベテランで、メインの製作スタッフでもあり、シーンごとにどんなふうに戦うか、毎回相談しました。例えば、李相夷の婆娑歩(はさほ※空中を歩いているような技)はどんな動きにするか、相夷剣の振り方、師匠をしのんで竹林で一人剣舞するときなど、そのときそのときの"彼"という人間の心境や人柄を反映させる。僕自身のキャラクターや武術についての考えを先生たちに伝えました。視聴者のみなさんが見終わったあと、違和感を残したくないとも思っていました。この人物はこんな戦い方はしないぞ、とかね。このドラマの特徴を考慮し、キャラクターに合った武術のスタイルを作っていきました。どうやって視聴者に受け入れられる新しいものを作り出すか。自然に受け入れられる形を作ることが、ドラマの撮影では苦労する点でしょう」

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――戦うシーンにけがは付き物ですが、それが怖かったり、嫌だったりすることは?

「撮影中は予測できない要素が多すぎて、自分で我が身を守る方法を身につけるしかない。仕方ないですよね。戦う場面なのだから、けがをせずに終わるわけがない。それが当然だと思います。スタントの方たちはもっと大変ですよ。実際のところ、一番危険なところをスタントの方たちがやってくれたあと、僕ら俳優が続きを演じるわけで。一番危険なのは彼らです。これは強調しておきたい。テストで彼らが難易度の高いアクションをやってみて『君はこれができる?』と聞いてくれる。僕らのことを尊重してくれるんです。できないと言ったら強要されることはありません」

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――李蓮花、方多病(ほうたへい)、笛飛声(てきひせい)の三人の友情はどうでしたか?方多病役のツォン・シュンシーさん、笛飛声役のシャオ・シュンヤオさんと共演した感想は?

「笛飛声は李相夷の宿敵で、方多病は李蓮花の友人。この三人の友情について、ひと言では説明できません。三人が一緒の場面も多く、二役とも自分のキャラクターを熱心に作っていたと思います。撮影現場の雰囲気がとてもよくて、他の人たちから『蓮花楼』チームが横店(※撮影場所)で一番勤勉で熱心だと称されていました。全員が積極的で毎日すごく楽しかったです。雰囲気って大事ですから」

――劇中で李蓮花は料理の腕を発揮しますが、実生活でチョン・イーさんの料理のレベルは?

「料理の腕はピカイチですよ。何がピカイチか分からないけど。みなさん期待してください。次の作品では見事に料理してみせます」

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――李蓮花というキャラクターを通じて、伝えたいことは?

「子どもたちは暴力的なシーンを見て、衝動的になったり、意地になったりしないでほしいです。李蓮花のように生活を楽しんで、自分の周りの素敵なことに目を向けてほしいですね。大人の皆さんには、より見てほしいですね。恐れ知らずの李相夷は情熱的で、常に自分を磨き続ける。でもいろいろなことを経験したその先に、別の道で希望を見出し、別のライフスタイルがあり、そっちのほうが幸せかもしれない。そんな気づきもあるはずです。(この作品を通して)皆さんにたくさんの癒やしを届けられたらいいなと思います」

文/神野栄子