中国人YouTuber・李姉妹が語る、ワン・ホーディーが悪のカリスマにハマり役な「蒼蘭訣~エターナル・ラブ~」は現代にも通じる"恋愛の教科書"

中国人YouTuber・李姉妹が語る、ワン・ホーディーが悪のカリスマにハマり役な「蒼蘭訣~エターナル・ラブ~」は現代にも通じる"恋愛の教科書"

日本在住の中国人YouTuber・李姉妹。中国で生まれ、日本、ニュージーランドを経て日本で暮らしている姉・ゆんと、日本で生まれ、幼少期は中国で過ごして6歳から日本在住の妹・しーが、生い立ちや実体験を生かした中国語や中国文化を中心にした情報を発信している。今回、李姉妹にワン・ホーディー主演のロマンス・ファンタジー時代劇「蒼蘭訣(そうらんけつ)~エターナル・ラブ~」について魅力を語ってもらった。暴虐の限りを尽くして幽閉され、あらゆる感情を失ったはずの主人公・東方青蒼(とうほうせいそう)が、ひょんなことから蘭の花から生まれた仙女・小蘭花(しょうらんか)に出会い、恋心が芽生えていく。李姉妹ならではの中国語での表現に注目した話も。(以下、ネタバレを含む)

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李姉妹(写真左から、しー、ゆん)

中国での盛り上がりに、すごいことになると確信

ゆん「中国のSNSで最新ドラマの情報もよくチェックしているけど、『蒼蘭訣』に対するあの温度感は、このドラマすごいことになるって思ったよね。盛り上がりのレベルが違うというか。日本みたいに春・夏・秋・冬の4クールに分かれていなくて、毎年数えきれないくらいのドラマが作られるので本当に競争が激しい。その中で、『蒼蘭訣』は出てきたときに爆発力を感じたから、2人ともファンタジーはあまり見ないけれど、これはさすがに見ないとって」

しー「うん。どちらかというとファンタジーよりリアリティーのある作品が好きなので、実はそんなに期待していなかったけど、すごく見やすいなって思った。登場人物たちが神や妖精だけど、その中身は人間のようで感情移入しやすかったからかな」

ゆん「私も普段見ている作品の舞台とは違う新鮮さと、ワクワク感があった。神の世界の物語で予想しづらいけれど、ストーリーがすごくしっかりと作り込まれているから、すごく続きが気になった。中国では、ファンタジーロマンスのジャンル自体がすごく人気だよね」

しー「ただ、そのジャンルが確立している分、比較がされやすくて細部まで見られる。ファンタジーだからといって、何でもあり過ぎるのもダメ。脚本の自由度が高い分、難しいと思う。歴史ものと違って、創作の腕を問われるようなイメージもある」

ゆん「中国の人はドラマをすごく見るから、みんな評論家みたいな(笑)。脚本から音楽、衣装まで、本当に細かいところまで見ているから、制作陣もプレッシャーが大きい」

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主演のワン・ホーディーがキャラクターにぴったり

しー「その制作陣が良かったのと、キャストの力もあると思った。主演のワン・ホーディーは、中国版『花より男子』の『流星花園2018』で道明寺役をしていて、かっこよくて、かわいい若手俳優という感じで知ってはいたけど、この作品で若手の中のトップレベルに躍り出た印象がある」

ゆん「それすごい実感した。間違いなくワン・ホーディーの代表作だし、最高傑作。こういうバズるドラマって、大体知名度が高い役者さんが主演を務めるけれど、ワン・ホーディーとヒロイン役のユー・シューシンは当時、正直まだそこまでという感じだった。またいつものファンタジーラブロマンスだろう、と思われていたところからの逆転劇は華麗だったなぁ」

しー「ワン・ホーディーの顔が、すごく悪のカリスマにぴったりな顔立ちなんじゃないかなって。イケメンにもいろんな顔の種類があると思うけど、ワン・ホーディーはつり目で全体的にキュッと上がった強めの顔。悪いのに、なんかかっこいいみたいな。あの威厳がある感じとマッチしていた」

ゆん「うん。演技力もすごく評価された。ワン・ホーディー、ユー・シューシン、2人とも結構難しい役柄だったと思うんだよね。2人が入れ替わるところのほかに、記憶を失って別人格になるところもあって、その演じ分けがすごくて、ちゃんと別の人に見えた」

しー「入れ替わったところは説明されなくても、ちゃんと入れ替わったのが分かる表情や動きだった」

ゆん「そうそう」

しー「ユー・シューシンも、小蘭花は普段どちらかというとキャピキャピというか、声も話し方もぶりっ子系なんだけど、東方青蒼入れ替わってスンってする感じもすごく上手だなって」

ゆん「ネタバレになるけど、後半の入れ替わりシーンも私は好き。最初は主人公にもヒロインにも感情移入がない時だけど、後半は視聴者も2人のことを理解している状態で入れ替わるので、さらに見せ方は難しかったと思う。でも、その再現度がすごく高くて。めちゃめちゃ細かいところだけど、小蘭花はひらひらした服を着ているから、いつもスカートを持ちながら歩いてる。中身は小蘭花になった東方青蒼が、自分の服を持ち上げながら走った時、『あっ、小蘭花だ!』と思うほど、ワン・ホーディーうまいなって感心した」

しー「(笑)」

ゆん「あれだけ見た目がいいと演技どうかなって正直あるけど、演技力もビジュアルに負けてないって中国でも言われてたよね。急成長を遂げたとかも」

しー「もしかしたら現代劇よりも、こういう現実離れした役のほうが合うのかもしれないね」

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主人公の呼び方が中国語字幕と日本語字幕では違う

ゆん「以前は中国語音声&中国語字幕そのままで見たけど、今回改めて日本語字幕で見返したら、あっと思ったところがあって。小蘭花が東方青蒼のことを呼ぶとき、日本語字幕では"大魔王"となっているけれど、中国語では"大木頭"だから違うんだよね。"大魔王"は中国語で"大魔頭"になるけれど、"大魔頭"と"大木頭"は発音が似ているのもあるし、キャラクター的にもそうなったのかなと思う。ただ、小蘭花はすごく優しい性格で思いやりがあって、人を傷つけないキャラクターなので、東方青蒼のことも"大魔王"とは直接的に呼ばなくて、それに近い"大木頭"=大きい木と遠回しに言っている」

しー「当て字というか、ダジャレみたいな」

ゆん「そう。もうちょっとかわいらしい感じで呼んでるけど、そこは再現が難しかったのかな」

しー「意味としては、大魔王と思って呼んでるからね」

ゆん「そんなセリフからも、すごく作り込んでいるんだなって感じた。そういえば、東方青蒼が自分のことを言う一人称って、なんて訳されてたっけ?」

しー「"私"だったと思う」

ゆん「中国語のセリフでは"本座"って言ってるけど、これは現代では使わない中国語」

しー「日本でも時代劇では違ったりすると思うけど、そんな感じだよね。東方青蒼は月族(げつぞく)の長(おさ)だから威厳のある呼び方」

ゆん「"本座"はファンタジーではない時代劇でも出てくるけど、すごく大きな一族のトップや、大きな宗教集団などのカリスマが自分のことを言うときに使う。視聴者の間では、この呼び方がいいと流行したね」

しー「そうだったね」

ゆん「Sっ気がある感じに、オレ様ぶりが出ていてキュンキュンするみたいな(笑)。これも言語が変わると再現は難しいけど、悪のカリスマ感が出ているところだったな」

しー「中国語を勉強している方だったら、ちょっと耳を澄ませてみると、確かに言ってるなって分かって面白いかも」

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愛されたい女性必見の現代にも通じる"恋愛の教科書"

ゆん「この作品を見たら、ワン・ホーディーを絶対に好きになるよね」

しー「全編を通して一番キャラ変する。感情がないところから取り戻していって、顔つきもどんどん優しくなって、最終的にめちゃくちゃ優しい全然違う人になってる」

ゆん「その変化も唐突ではなくて、ちゃんと視聴者が納得できる出来事があっての変化だしね」

しー「そう、納得感がある」

ゆん「視聴者として、一緒にそれを味わえるのもいいなと思った。あと、中国での公開当時、SNSによく書かれていたのが"恋愛の教科書"だった。2人の関係性が、現代の自分たちの恋愛にも勉強になるって。愛されたい女性は、小蘭花を目指すべきみたいな。柔らかくて優しいけど、芯があって自分の意思もしっかりある。相手を傷つけずに、優しい言葉でしっかり交流するとか、相手を褒めるとか、けなさないとか。そういうところから愛とは?みたいな」

しー「確かに、愛がこの物語のテーマだもんね」

ゆん「愛に関して、話題になった名セリフがあるよね。小蘭花の『我愛蒼生、也愛一人』。日本語だと『私は全ての人を愛しているけれど、1人の人のことも愛してる』というような意味」

しー「最後のほうで出てくるセリフで、日本語にすると普通の文章みたいだけど、中国語だと詩的な表現なんだよね。リズム感も良くて、美しいなと思う」

ゆん「『蒼蘭訣』は、ファンタジー作品を食わず嫌いしている人にもオススメしたい作品」

しー「シンプルに目の保養にもなる」

ゆん「そうだね!」

取材・文/神野栄子

放送日時:2025年2月 7日 01:00~

チャンネル:LaLa TV

韓国・アジアドラマ

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