令和に見てもハマる！「冬のソナタ」「春のワルツ」ほか韓国ドラマ四季シリーズの魅力

2025.02.08

第一次韓流ブームのきっかけを作った「冬のソナタ」。「冬のソナタ」を含む、「秋の童話」「夏の香り」「春のワルツ」の4作品のことを「四季シリーズ」と呼び、いずれもユン・ソクホ監督が演出を手掛けている。四季がテーマになっているだけで、関連性は特にない。最初に作った「秋の童話」の次回作の放送がちょうど冬だったため、監督の思い付きからシリーズ化されたのだという。どんな内容のドラマか、制作された順にざっと紹介しよう。

「秋の童話」(2000年制作)は、過去に赤ん坊の取り違えがあったことが発覚し、裕福な家庭で育ったヒロインのウンソが貧しい実母の家に引き取られるところから物語が動き出す。

昨今あまり見ない"ザ・悲劇のヒロイン"を健気に演じるのは、今や大スターとなった「ザ・グローリー〜輝かしき復讐〜」のソン・ヘギョだ。相手役を務めるのは、ソン・スンホンとウォンビン。元祖韓流スター2人の若かりし姿に目が釘付けになる。

韓国では4作の中で最もヒットした本作。大きな見どころは、「禁じられた遊び」の切ないギターの旋律をバックに描かれていく、血の繋がらない兄妹であるウンソとジュンソ(ソン・スンホン)の禁断の恋だろう。最終回の衝撃的なラストは、韓ドラ界の伝説になっている。

「冬のソナタ」(2002年制作)は、主演のペ・ヨンジュンが"ヨン様"と呼ばれて日本での韓流ブームの火付け役となった、言わずと知れた大ヒット作だ。

物語のテーマは初恋。幼なじみと婚約したヒロインのユジンは、高校時代の亡き初恋相手チュンサンにそっくりなミニョンと出会う。果たして彼は何者なのか？

"記憶喪失""出生の秘密""交通事故"といった韓ドラあるあるが盛りだくさんの内容だが、これだけのブームを巻き起こしただけに、主演のペ・ヨンジュンとチェ・ジウの相性がすばらしい。2人の名演技は今も見る人を夢中にさせる。単なる純愛物語に留まらず、ミステリーの散りばめ方も抜群にうまい。

そんな冬ソナの翌年に制作された「夏の香り」(2003年制作)は、四季シリーズの中で唯一、"記憶する心臓"というファンタジー的な要素が入った作品だ。

主人公は、心臓移植をしたヘウォンと恋人を事故で失い心に傷をもつミヌ。ヘウォンはなぜかミヌに会うと胸の鼓動が早まるが、一方のミヌもヘウォンに亡き恋人の面影を感じ......。

本作は、何といっても「愛の不時着」のソン・イェジンと、「四季シリーズ」2度目の主演のソン・スンホンが共演しているのが大きな見どころだ。夏の山の風景やロマンチックな雨のシーンが、この2人の美しさをより引き立てる。最終回のラストシーンも秀逸。

「四季シリーズ」最後の作品「春のワルツ」(2006年制作)は、ヒロインのウニョンがオーストリアで天才ピアニストのジェハに出会ったことから物語が始まる。彼女の姿を見て幼い頃を思い出すジェハ。実は彼には誰にも言えない秘密があった。

ヒロインを演じるのは、「ムービング」など昨今も続々と話題作に出演しているハン・ヒョジュ。本作がドラマ初主演である。男性主人公を演じたソ・ドヨンとともに、新人俳優2人をメインに起用したことでも話題を集めた。

そんな2人の初々しい演技や孤独な主人公の生き様も目を引くが、オーストリア各地で撮影された「四季シリーズ」初の海外ロケシーン、自然豊かな青山島を舞台にした回想シーンも見逃せない。"映像詩人"と称されたユン・ソクホ監督のセンスが光っている。

「四季シリーズ」は、4作品とも"純粋さ"をポイントに情感豊かに描かれていて、それぞれに味わいがあるが、今観ても色褪せない面白さをもつのは、やはり「冬のソナタ」だろう。現在の韓国ドラマにもつながる雰囲気や設定があり、最近の韓ドラ視聴者も入りやすい。

かつて韓国ドラマは、3話までテンポが悪く面白くないといわれた。「四季シリーズ」も序盤は若干辛抱が必要だ。だが、それを抜けると、物語も俳優陣の演技もどんどんいい塩梅になり、不思議と抜け出せなくなってくる。韓流ブームの原点ともいえる「四季シリーズ」。この4作品をじっくりと観てみると、なぜ韓国ドラマがここまで人々の心を捉えるようになったか、ひしひしとわかってくるはずだ。

文／高山和佳