"涙の女王"スエの感情演技とドロドロなストーリー展開に引き込まれる「工作都市~欲望のワルツ~」

"涙の女王"スエの感情演技とドロドロなストーリー展開に引き込まれる「工作都市~欲望のワルツ~」

"涙の女王"と称えられる演技派女優スエと、先日配信が開始したドラマ「暴君」も話題の実力派キム・ガンウが夢の共演を果たした「工作都市~欲望のワルツ~」。2021年に韓国で放送された本作は、スエが5年ぶりにドラマ主演を務めることでも注目を集めたミステリー心理スリラードラマ。この度、女性チャンネル♪LaLa TVにて9月より放送されることが決定した。

Netflix「mine」(2021年)、社会現象を巻き起こした「SKYキャッスル~上流社会の妻たち」(2018年)など、昨今はセレブ階級の女性たちの欲望を生々しく描く"ドロドロ系"愛憎劇が一つのトレンドである韓国ドラマ界。その流れの1本ともいえる「工作都市~欲望のワルツ~」は、大統領夫人の座を狙って財閥家に嫁いだ"嫁"と、財閥一族を支配する"姑"の熾烈なバトルを描くストーリーだ。

スエが演じる主人公・ジェヒは、貧しい家庭の出身だが容姿端麗かつ頭脳明晰。自分にない財力を手に入れるためキャスターのジュンヒョク(キム・ガンウ)と結婚し、大手財閥ソンジングループ系列の美術館の室長を任されている。大統領夫人になるという壮大な野望を持ち、夫の不貞や周囲の裏切りにも負けずにのし上がろうとする"屈しない女"を、スエは鬼気迫る表情や口調で熱演。普段はクールビューティーな美貌が魅力のスエだが、飽くなき欲望を抱いてさまざまな困難に立ち向かう熱量と魂のこもった芝居に魅せられる。

そんなジェヒの夫・ジュンヒョクを演じているのがキム・ガンウ。政界進出を狙う報道局の看板キャスターで、家では愛情深い父親の顔を見せているが実は不倫を繰り返していて...という典型的なダメ夫だ。財閥会長の隠し子であるコンプレックスを抱えつつ、いつの日か自分が権力を握ることを夢見るジョンヒョクをキム・ガンウは時に冷酷に演じてドラマをスリリングに盛り上げる。

ジェヒの前に"最強の姑"として立ちはだかるのは、権力も財力も手にした傍若無人な義母ハンスク(キム・ミスク)。ジョンヒョクではなく実子のジュンイル(キム・ヨンジェ)を後継者に据えようと目論む、ソンジングループの実質トップであり、韓国の経済界をも牛耳る女帝だ。ジェヒとハンスクの嫁姑バトルは、普通の一族のそれを超越した壮大なスケールで描かれ、"やられたらやり返す"の両者一歩も引かない展開が必見。ジェヒはソンジングループの悪事を暴いてハンスクとジュンイルを陥れようと仕組むが、それに気づいたハンスクはジェヒを秘密の書庫に連れ出し、ある取引を持ち掛ける......。次第に明らかになる登場人物たちの秘密や過去、ハプニングに次ぐハプニングは一度見始めたら止まらなくなること必至だ。

韓国ドラマで欠かせない要素の一つである"財閥"を舞台に、欲望をむき出しにしながらトップを目指す人々の深い欲望が描かれる「工作都市~欲望のワルツ~」。権力者たちの思惑に巻き込まれ、信頼していた人の裏切りに翻弄されながらも必死に戦うジェヒの運命は――。キャストたちの見応えある演技合戦に引き込まれながら、予想のできない後継者争いの結末を見届けてほしい。

文=川倉由起子